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「愛人にならないか」
常務から発せられたまさかの言葉に、「は？」と掠れた声が出た。
愛人、て。しかも常務と秘書て。
昼ドラや小説の中にしか存在しないと思っていた、堂々とした「愛人」発言に、心の中で笑ってしまう。
嫌な予感はしていたけれど、まさかこんなにストレートに交渉してくるとは思わなくて、力が抜けた。
「…お言葉ですが、常務。そのようなお話は」
「出世するんだよ」
私の言葉を最後まで聞かずに、ゆったりとした口調で口を挟む。
「…おめでとうございます」
「まだ内々の話だがね。君が私のものになれば、君の出世も約束しよう」
そう言って不敵に、にやり、と口角を上げる。
そのままゆっくり、ゆっくり、私の方へと歩みを進めてきた。
それに合わせて、じわじわと私も後ずさる。
冗談じゃない。
愛人なんて、そんな関係まっぴらごめんだ。
この場をどう切り抜けるか。
頭をフル回転させて考える。
その間にも、常務はじわり、じわりと距離を詰めてきていて、気付けば私は、常務室の壁際に追い込まれていた。
…逃げる？
扉までは、約３メートル。走れば逃げられなくはない…けれど、その後の業務に支障が出ることを考えると、得策では無いような気がする。
「Aくん」
気付けば常務は目の前で、壁に追い込まれた私を見下ろしていた。
あの嫌な目つきが私をなめるように見て、かさかさした右手が頬に触れる。
ぞわ、と鳥肌が立った。
「…あの、常務」
「君が欲しい」
「…ご期待には沿えません」
「何故だね」
「……そのような関係がもし公になれば常務の評判を落としかねませんよ」
冷静なフリをして、なんとかもっともらしい理由をひねり出す。
かさかさした右手が、するりと頬を滑って、私の顎をぐい、と上げた。
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たら - すごくきゅんきゅんしました。文章も読みやすくてドストライクでした。付き合ってからのお話も是非読みたいです。ステキなお話ありがとうございました^ ^ (2020年2月13日 23時) (
レス) id: 2e25372ccf (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - やっぱり、芸能人でなく、一般人設定の方が親近感ありますよね。これからも期待しています。 (2019年8月26日 4時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
ろっか(プロフ) - みきさん» あああありがとうございます………ふみきゅんの他ストーリーや続編…考えてみますね！ (2019年8月25日 11時) (レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - フミキュンのストーリーって少ないので、こちらを見つけて嬉しかったです。スゴく素敵で、読みごたえがありました。また、フミキュンのストーリーを読んでみたいです。よろしくお願いいたします。 (2019年8月21日 8時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - スゴくキュンキュンさせられました。スゴくピッタリな設定で、読んでて楽しかったです。出来れば、続編として、付き合ってからのストーリーも読んでみたいです。よろしくお願いいたします。 (2019年8月21日 7時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年5月3日 1時
