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その100(大コンペ準備編) ページ6

無事100話達成です!いつも読んでくださり、本当にありがとうございます!



実際制作者じゃないからわからないけどね、と苦笑いするヒナさん。

律円果自身の不安と向き合わせるために作られたゲームだからこそ、芸能人=使い捨て=アバターとしてヒナさんの部屋は作られたのかもしれない。

「それでさ、気づいたんだよね。私、『ヒロイン』って言われている登場人物もさ、使い捨てなんじゃないかなって」

ヒナさんの表情が歪む。悲しくて、苦しい気持ちを混ぜたようだ。

ゲームごとに主人公、すなわちヒロインが違うのであれば、完成したヒロインは、キャラクターはどうなるのだろう。
人気のあるうちは良いかもしれない。けれど、人気がなくなれば。日数が過ぎてしまえば。人々の記憶の中から消えてしまう。それは利用され、捨てられたのと同じだ。

「私もさ、この世界では『迷いこんだヒロイン』だから。この子たちと一緒かな、なんて思ってたら、いつの間にか彼女たちに同情しちゃって。そしたら、なんだか愛おしくなったんだよね」

ヒナさんは穏やかな表情で人形を見ていた。

「今はもう、エンディングが終わったから捨てられるかもしれないけどね。それはできないなあって」

だからヒナさんはマツリさんに言われても片付けなかったんだ。自分と重ねて。そして自分と同じだから。

「あはは、ごめんね、こんな重い話」

「いえ、悲しいけれど、とても、優しい、話でした」

「そっか」

そっかそっか、と何度も頷くヒナさん。するとー

ほろり、とヒナさんの目尻から、涙がこぼれた。

「…ありがとう、沙良ちゃん。人形、綺麗って言ってくれて。大事にしてるってわかってくれたの、沙良ちゃんが初めて、なんだ」

ほろほろと零れる涙が、ヒナさんの頬を、服を濡らしていく。

「皆、『捨てればいいのに』って」

それは、悲しいことだと思う。まるで自分を捨てろと言われているような気持ちになるだろう。

「…ヒナさん」

ポケットからハンカチを出して、ヒナさんに渡す。ありがとう、と受け取ってもらえた。

「ヒナさんさえ、よければ、人形、綺麗にするの、手伝わせて、もらえませんか」

「…いいの?」

頷く。

「いろいろ、ゲームのこと、ヒロインのこと、教えて、ください」

もっと、知りたい。ヒナさんのことも、他の人のことも。

「…ありがとう。じゃあ、約束、ね」

ヒナさんが小指を出す。

「はい…」

私の小指。二つの小指を結び合わせ、私たちは約束した。

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ソフィア(プロフ) - 如月すやさん» いつもコメントありがとうございます!必ず投稿は続けますので、よろしくお願いします! (2021年8月23日 23時) (レス) id: 21c625e26e (このIDを非表示/違反報告)
如月すや(プロフ) - 続編待ってました!ゆっくりでも全然大丈夫(誰目線?)ですので、更新頑張ってください(^-^)/ 応援してます! (2021年8月19日 16時) (レス) id: f380242dac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソフィア | 作成日時:2021年8月18日 23時

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