18,視線の先には ページ23
シヴァ・アスガル side
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「皆さん離れてしまいましたね〜」
カデンツァの車椅子を押す。
彼女は下を向いたまま、口を開こうとはしない。
車輪がコロコロと音を立て転がるので、沈黙に緊張はしなかった。
彼女は交渉が決裂してしまったのを気に留めているのだろうか?
私には彼女の思考を読み取ることは出来なかった。
正確には読み取ることは出来る。
しかし、読み取る行為は彼女の心の傷をさらに広げてしまうのではないか。
予想以上のショックを受けているのではないか。
そう考えてしまうと気が進まなかった。
すると彼女がようやく口を開いた。
カデンツァ「仕方…ないですね…。この辺りは建築物が多いです…。倒壊してしまうと大変危険ですからビルなどからは離れましょう…
それと衣食住は大切ですから、食料を探しましょう。」
ふぅ…と一息吐くと顔を上げた。
彼女の目は交渉していた時の光を取り戻していた。
それに安心して私は表情を緩ませた。
「そうですね!ではどこへ行きましょうか〜
食料が腐敗してなければ良いのですけれど……。
あ!コンビニとかにはありませんかね?食料」
考え込んでいるのか、カデンツァの表情が険しくなる。
カデンツァ「安心で安全で尚且つ素早く回収したいところですね…。
その案に賛成します。しかしなるべくカメラなどには映らないで移動してほしいです。
しかし…監視役がいるならその行為は無駄なのかも知れませんが…」
顎に手を当て、少し不気味に微笑んだ。
その様はまるで悪巧みをする悪餓鬼のようだ。
呆れの混じった苦笑でカデンツァを見ながら車椅子を押し進む。
次の瞬間、後ろから気配がした。
正しく言えば視線を感じたというところだ。
目線をチラリと後ろへやる。
人の姿は疎か影すら見えなかった。
私は何事も無かったかのように、カデンツァに対して言葉を返す。
しかし内心は気がかりで仕方がなかった。
私はカデンツァに相談するかどうか迷ったが、相談しないでおいた。
後々、大変な事にはならないであろうと考えたからだ。
しばらく衣食住について話していると再び視線を感じた。
この時はカデンツァの方も感じ取ったらしく私の目を見てコクリと頷いた。
私の方もコクリと頷く。
それを合図とするかのように、ばっと視線の方へと振り返った。
すると、視線の先には少女が立っていた。
青と金のオッドアイ、カールした萱草色の髪、白い肌。
アルビノだ。
to be continued
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あめだま(プロフ) - 見返してみれば矛盾だらけでした。修正したりしてますので矛盾してたら指摘下さい!( (2018年2月3日 9時) (レス) id: e80c6ffed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーりん | 作成日時:2017年11月20日 22時