隣 人 さ ん ≪ Kei.I ≫

隣人19. 勝敗が決定 ページ19

「次は絶対勝ってみせる！」


そんな伊野尾くんの声が響き渡る。

そして…私も珍しく本気。





これでデートするかしないかが決まるのだ。

もちろん私は…デートしたくないわけで。




地獄の三本勝負が始まってしまった。




……


二本目。

あっち向いてほい。





『「最初はぐー！」』


そう言って何度もじゃんけんをするが中々勝敗がつかない。

くっ…ここは絶対勝ちたい。





そしてしばらくやり続けて

伊野尾くんがパー、私がグーのときだった。




「あっち向いてほい！」


伊野尾くんが指差した方向と私が顔を向けた方向が一緒だったらしく。



呆気なく…撃沈。





「やった！これで…デートに一歩近づいた！」


どこか喜んでいる伊野尾くんを軽く睨む。

次で勝負が全て決まるから頑張らないと。





『ふぅ…頑張らないと』


「初めてAちゃんが本気のところ見た〜！」



『うるさいですよ』





そんなやり取りを伊野尾くんと交わしつつ。




私は次の勝負に勝つために気合いを入れ直していた。



……


三本目。

早口言葉。




まず、この勝負を三本目に持ってくること自体間違ってる気がする。

それに…三本勝負が全部地味すぎる。






『何で…わざわざ早口言葉なんですか』


「うーん…だって平等にやった方がいいでしょ？」


そんな伊野尾くんの言葉に軽く納得。

…お互い平等にやった方が面白いし。







そんなこんなで一つ目。

" 生麦 生米 生卵 "×3。




まずは伊野尾くんから。



「生麦 生米 生卵！生麦 生米 生卵！生麦 生米 生卵！」


ここは余裕でクリア。





そして…私。



『生麦 生米 生卵！なまむぎ…なまたまご？』


まさかの次の言葉が分からなくて失敗。

まさかここでミスしてしまうとは。




結果、伊野尾くんの完全勝利。






「やったぁああ！Aちゃんとデート券ゲット！！」


『ほんと最悪ですよ』


「んふふ…楽しみだなぁ」



『最後の勝負、伊野尾くんズルしてませんでした？』


「してないよ！！」



そんなこんなで伊野尾くんとデートすることになった様子。







初めて…勝負に本気を出した気がする。







それも全部伊野尾くんのおかげかな。

隣人20. デート約束→←隣人18. 本気の勝負

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す