選 択 肢 。 ≪ Yuri.C ≫

崩壊28. やっぱり嫌い ページ28

空き教室で知念くんに呼び出された日から数日。



私の生活は90度…いや180度ほど回転してしまった。

それも全部全部あいつのせい。





「A、シャー芯貸して？」


後ろから私の背中をシャー芯でつんつんさせるこの男。

最近はこの男に呆れ三昧だ。




『自分のあるのに何でわざわざ借りるの』


「自分の使ったら汚れちゃうじゃん？

だからAの使った方が一石二鳥かなーって。」


そう言った知念くんは顔を見なくても分かる。

今絶対、悪魔のように微笑んでる。



ここで渡さなかったら間違いなくお仕置き確定だから

そこは反論もせずに静かにシャー芯を渡す。




そうなんです。

あのキスを寸止めされた日から知念くんに馬鹿にされる日々。



それも前よりももっともっともっと酷くなってます。





昼休みも。



『大貴！一緒にお昼ご飯食べ…』


「A、一緒にご飯食べよ」


大貴と桃子と3人で食べようと声を掛けようとしたのに

知念くんに遮られこの有様。



しかし断るわけにもいかず、

大貴と桃子にはそれぞれ別の人と食べてもらって。



私は知念くんと机をくっつけて

まさかの2人きりで昼食。



クラスメイト、増してや他のクラスの知念くんファンからの視線。

数日経った今はみんなも慣れてきてるけど。





そして放課後も。



『大貴！部活オフだよね？

一緒にかえ……』


「A、一緒に帰ろ」


またも大貴に声を掛けようとしたが遮られて失敗。

なんて手強いやつなんだ。



と思いつつも…断るわけにはいかず。

仕方なく知念くんと教室を出て。







校門付近でも。



群がる知念くんファン女子たち。

「何でこの子と一緒に帰るの？」とか酷い言われ様。



すると知念くんはいきなり私の肩を引き寄せて。




「これからAとデートだから邪魔しないでくれる？」


と言って私の手を引っ張って校門を出て行って。



私はそんな知念くんの背中を見ることしかできなかった。



……


学校を出てしばらく歩いたところで。




『ちょっと！何で勝手なこと言ってるの！』


「仕方ないじゃん。うるさい女たち巻くためにやったんだから。」




『困るのこっちなんですけど』





「まぁ、このまま帰るのも怪しまれるからデートでもしよっか？」









そう言って悪魔のように微笑む知念くん。









くっ…こいつやっぱり嫌いだ。

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