選 択 肢 。 ≪ Yuri.C ≫

崩壊17. お弁当の約束 ページ17

『あ…大貴』


どうやら大貴は私の席まで来てくれていたようで。



私は慌てて知念くんを突き放す。

すると知念くんも渋々引き下がった。




「あのさ…昼飯一緒に食わねえ？」


そう言った大貴は少し照れくさそうに頭を掻いた。



…え。どうしよう。すごく嬉しい。

避けられたと思ってたのに…まさか誘ってもらえるなんて。




「あ…やっぱ無理だよな…ごめ……」


『いいよ！てゆか一緒に食べよう！！』


そう言ってあからさまに立ち上がる私。


すると大貴は優しく微笑んで。




「昼休み屋上で待ってっから！」


そう言って私の頭をぽんっとして席へ戻っていった。



…大貴の笑顔久しぶりに見た。




立ち上がっていたことに気づき慌てて椅子に腰かける。



「幼馴染から誘われて随分嬉しそうだね」


そう言われて慌てて振り返る。



そこには悪魔のように微笑む知念くんだったが、

どこか不機嫌そうにも見えた。



『ち、知念くんには関係ないっ…！』




そう言って前を向いた。



……


待ちに待った昼休み。



桃子と共に屋上へと足を進める。




「良かったじゃーん！有岡から誘われて！」


屋上に行く際に桃子にそんなことを言われたが気にしない。




屋上の扉を勢いよく開けるとすでに大貴がいて。



『先越されたー！』


なんて悔しがってみると。



「俺いっちばーん！」


そんないつもの大貴に胸が高鳴る。




「お前らは小学生か」


大貴と微笑み合っていると桃子にそう突っ込まれたけど気にしない。





しばらくしてやっとお弁当を食べ始めて。



「ごめん、私ちょっとトイレ！」


そう言って屋上から出て行った桃子。




大貴と私の間に無言の時間が流れる。



「なぁ……」


その無言の時間を破ったのは大貴で。




『ん？』


「…Aは知念ってやつと付き合ってんの？」


そう言われて。



……は？





『付き合ってないし、仲良くもないし、好きじゃないよ。』


てゆうか…どういう経緯でそうなった。



私の言葉を聞いた大貴は安心したように「そっかぁ」って微笑む。


…相変わらず子供。





「じゃあこれから毎日ここでお弁当食べよ！！」






そう言って微笑む大貴。









…幼馴染とのお弁当の約束が出来ました。

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