選 択 肢 。 ≪ Yuri.C ≫

崩壊01. 遅刻常習犯 ページ1

高校2年生の春＿＿＿




『行ってきまーす』


そう言って家を出ると、目の前には大貴の姿。




「珍しく今日は早いな」


そう言って悪戯な笑顔を見せる大貴。




こいつは幼馴染の有岡大貴。


小学、中学、さらに高校までずっと一緒。

さすがに腐れ縁すぎる気もするが。




『まぁ、今日は始業式だからね！』


「いつも早くしてくれたら助かるんだけどなぁ」


そんな大貴の言葉は嫌味なのか本音なのか…。

本音として受け取ってあげよう。




『待って、学校始まるまで10分もない！』


「はぁ！？Aがもたもたしてるからだろ」



『大貴がもうちょっと早くインターホン押してくれたら…』


「うるさい、行くぞ」


私の言葉を遮るようにそう言った大貴。

当の私は無理矢理大貴に手を引っ張られて。


走る大貴の後ろを私も追いかけた。




そんな" 平凡な一日 "が今日も始まります。



……


学校に着いたのはぎりぎり5分前。



足を止めることなく走ってきた私たちは

クラス表の前で息を整える。




「はい、有岡見っけ」


そう言って大貴が指差すのは3組。




『大貴はいいよね。

「あ」だから毎年毎年すぐ見つかるじゃん。』


「まぁ、そこは有岡に感謝だな」



それに比べて私の苗字は「玉木」。

……中途半端すぎる。




もう3分しかないのにクラス表見れてないじゃん。

それに身長が低いから人が邪魔で何にも見えない。





「あ、Aあるじゃん」


そう言ってクラス表を指差す大貴。



『ええ！！何組？何組？』


そう言って飛び跳ねる私に何やらにやにやしている大貴。




「…3組だってさ。

また俺と一緒だな！」


そう言って私にブイサインをしてきて。


『はぁ？また大貴と一緒？』




高校2年生も" 平凡な日々 "が送れそうです。



……


そして＿＿＿




「A急げ」


大貴に急かされながら玄関で上靴に履き替える私。




チャイムまでもう時間がない。

大貴は私のことなんか置いてさっさと行ってるし。





私も大貴の後を追いかけようとしたときだった。







どんっと目の前にある固い何かにぶつかって。

私はその衝動で床に尻餅をついてしまう。





顔を上げると＿＿＿＿








「邪魔なんだけど」









そう言ってこちらを睨んでいる人がいました。

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