料 理 教 室 で ≪ Kei.I ≫＿＿続編

料理25. 何も響かない ページ25

家に帰宅＿＿＿＿



『ただいまー』


平然を装ってそう軽く家の中に言う。



「おかえりー！もうご飯出来てるわよ〜」


リビングからそんなお母さんの声が聞こえて。




私は急いで靴を脱いでリビングへと走った。



……

リビングに向かうと、夕食のいい匂いが漂っていて。



「あれ？今日は慧くん来てないの？」


咄嗟に異変に気づいたお母さんはそう言った。

慧くんも来ると思ってたくさん作ったのに。何て言っている。



せっかく伊野尾慧のことあまり考えないようにしてたのに、

また考えちゃうじゃん。



『んー…そうみたい』


曖昧な返事をして私も食卓の席に着いた。



「もし彼氏の家に泊まるなら

こっちの夕飯なんか放っておいても良かったんだぞ？」


また横から傷口をエグるようなことを言うお父さん。

喧嘩でもしたのか？。何て言って。



そんなお母さんとお父さんのせいで、

またさっきの出来事を思い出してしまう。



『まぁまぁ！食べよ！』


そう言っていただきます。と手を合わせ、


ご飯に被りついた。



……

『「「「ごちそうさまでした」」」』


そんなこんなで夕食は終わって。




今ごろ、伊野尾慧何してるんだろう…。


陽菜さんたちと楽しく食事してるのかな。



そう思っていると、誰かに肩をトントンとされて。


顔を上げればお兄ちゃんが。



「ちょっと来て」



そう言ったお兄ちゃんは私の腕をグイグイと引っ張り、


3階へと上がっていった。



……

3階に上がって入ったのはお兄ちゃんの部屋。



『…なに』


「彼氏となんかあっただろ」


そう言われて肩がビクッとなる。



『…別にお兄ちゃんには関係ないじゃん』


そう言うと、頭を掻き始めるお兄ちゃん。



「俺が言うのも何だけどさぁ、

お互いの気持ちをぶつけ合わないと自然幻滅することだってあるんだぞ。


俺はあいつと付き合うことはまだ嫌なところもあるけど。

Aが楽しそうだから許してやってるんだから」



そう言い終わったお兄ちゃんは、

悲しい顔してるAは見たくない。何て付け足した。




……

あの後、自分の部屋に戻った私。



なぜだろう。

驚くほどお兄ちゃんの言葉が響かない。



もうなんかどうでも良くなってきちゃって。



ふとスマホを見れば伊野尾慧からメッセージが届いていて。






" Aー、急用って何だったのー？ "









そう送られてきたメッセージに既読スルーをした。

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