料 理 教 室 で ≪ Kei.I ≫＿＿続編

料理20. さすがに ページ20

数日後＿＿＿＿



「それでね〜、この前ラーメンに醤油をそのままぶっかけちゃってさ！」


「ははっ！ラーメンに醤油ぶっかけるとか(笑)」


なぜか私の目の前には楽しそうに話す陽菜さんと伊野尾慧の姿。



ついさっき料理教室を終えて、伊野尾慧と帰ろうとしたら

料理教室前に陽菜さんが偶然(じゃないと思うけど)来てたんだっけ。



……そこから一緒に帰ろう。と言うことになって。



「あとさ！他にも紅しょうがをちょっと入れようと思っただけなのに、

一気にドバッと入っちゃって！」


「はははっ！」


陽菜さんの話題にひたすら爆笑している伊野尾慧。


え、なんでこういう状況になってるの。←



神様、どうしてですか。


これは一種の試練ということなのかな。


それに私が神様にどうこう言える身分でもないしなぁ。。



だって私はただただ楽しそうに肩を並べて笑っている2人の

一歩後ろを歩いて見つめることしか出来ないんだもん。


せめて、あの2人の中に入って一緒に笑えればいいのに。



そんなことも出来なくて、ただ1人でモヤモヤしているだけ。


それに伊野尾慧の隣を歩いている陽菜さんと

何でもかんでも比べてしまう自分が嫌だ。



陽菜さんは美人だし、面白いし、背高いし。


それに比べて背低くて、全然面白くない私。



どちらかと言うと、私より陽菜さんとの方がお似合いなのかもしれない。

何て思ってしまう。



神様、どうして私なんかにこんな試練与えたんですか。


私が幸せすぎたからいけないんですか？


そう晴れた空の上に問いかけても返答はなし。



こんな暗い気分に快晴なんて……。



「慧も昔よくラーメン食べてたよね(笑)」


「いや、俺今でもよくラーメン食うよ」


そんな陽菜さんと伊野尾慧の声と蝉の鳴き声だけが響く家路。



伊野尾慧がラーメン好き。何て初耳だし、


伊野尾慧が私の前でラーメンなんか食べたことない。



そう考えるとやっぱり昔から馴染んでいる幼馴染が羨ましい。




『……っあ！私…用事、思い出したからここでバイバイっ！』


そう言って振り返って反対側を歩く私。



もう見てられないんだよ。


2人が楽しそうに笑い合っているところ。



「…えっ！？ちょ、A？」



そんな伊野尾慧の声が背後から聞こえる。




でも追いかけてはきてくれなくて。






少しだけ期待していた自分が恥ずかしい。









そうしていつもより遠回りをして家に帰った。

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