38 ページ38
「ねえ国行!この前審神者と一緒にお店行ったらさ、『ほたる饅頭』っていうのがあったんだ!!」
「そうなん。蛍丸と同じ名前やなあ。」
「そうそう!だからさ、どんな味がするのかなって気になって……、審神者にお願いしたんだ!国行の分も!」
楽しみだなぁ…。と蛍丸はワクワクしはる。
何やあの審神者が来てから蛍丸が明るうなった。
他の刀剣男士はそうでもあらへんけど、これだけでもこの本丸としては一歩前進ってとこやな。
そう思っとった時、部屋の向こうから足音が聞こえてきはった。
ガラッ
「蛍丸…!」
「審神者、どうしたの!?」
なんやえらい震えとる。
おおかた、また鶴丸はんとか乱はんとか堀川はん辺りに殺されかけたんやろ。
この様子じゃ、もうちょいでこの本丸を去るやろな。
蛍丸が審神者に触れようとすると、彼女は払い除ける。
「あっ…!ご、めん。」
そう言うてどっかへ逃げてった。
「審神者…?」
「蛍丸、いつもの事やろ。気にしちゃあかん。」
「うん…。」
今まで来た審神者ん中で今回の審神者とはいっちゃん仲良うしとったからな。
急に拒絶されて落ち込むのも無理ない。
……また足音が聞こえてきはった。
「審神者は!?」
燭台切はんや。
「今どっか行ったとこです。どないしはったん?」
「実は……。」
燭台切はん曰く、料理に毒が仕込まれてると審神者に思い込まれ、あの状態にならはったらしい。
またか……。
毎度毎度、疑心暗鬼にならはった審神者に勘違いされて可哀想なお人や。
「また、いなくなっちゃうかもね……。」
「別にええんやないですか?おらんくても自分らは困らんし。」
「でも…。」
「も、もしそうなったら俺が審神者を説得してみる。」
蛍丸…?
「俺の言葉なら聞いてくれるかもしれないし、…俺だっていなくなって欲しくないし。」
ここまで言わせたんはあん人が初めてやなあ…。
……蛍丸の為や、ちょっとぐらい手伝ってあげるのも保護者の務めってやつやな。
「わかった。そんなら蛍丸、一緒に審神者探して説得しよか。」
「国行…!うん!」
110人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜花 | 作成日時:2020年4月24日 0時