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「もうそろそろ、今剣が目覚めてもいい頃だな。」
「そうですか。」
私は今日も今剣の部屋へ行く。
かなり回復しているらしく、恐らく今日明日で目覚めるだろうとのこと。
ガラッ
「お待たせしました。」
今剣は眠っている。
いつも通り私は彼の胸に手を当て、霊力を与える。
＿＿＿＿＿
「……ん、」
「「！！！」」
今剣が起きた。
「こ、こは…？」
「貴方の部屋です。」
「あなたは…？」
「新しくここの審神者になった者です。」
審神者という言葉を聞くと、何かを思い出したかのように遠くの方を見る。
しかし、すぐに苦しそうに頭を抱え込む。
「今剣！！」
「大丈夫ですか！？」
「あたま……が、…！！」
十数年もあそこにいたのだから、記憶が混乱しているのかもしれない。
やがて、何かを思い出した今剣は泣き始めた。
「三日月さま……っ！！！」
「三日月？あいつも確か行方不明だったな…。三日月に何かあったのか？」
今剣は震え始める。
「三日月さまが…！小狐丸さんと石切丸さんをころし…！！！」
「は！？」
「鶴丸、三日月というのは？」
「この本丸で上位の実力を持つ刀剣男士だ。温厚な奴だったはずだが、何で…？」
温厚な刀剣男士が他の刀剣男士を殺害…？
仲違いでもしたのか、あの審神者が絡んでいるのか…。
どちらにしろ、本丸上位の実力者を止めるなんて、ちょっと難しいかもしれないな…。
「今剣、病み上がりで悪いのですが、三日月はどちらに？」
「すいません…。三日月のもようのあるところだったのはおぼえてますが、どこだったかまでは…。」
「分かりました。」
仕方ない。
彼も十数年間霊力を吸われて消耗していたのだから。
「鶴丸、探しに行きましょうか。」
「言われなくても。」
私と鶴丸は立ち上がる。
「あの…！」
「何ですか？」
「み、三日月さまをどうかころさないでください！りゆうもなくあんなことをするひとではありません！」
なんだそんなことか。
私は今剣の頭を撫でる。
「分かってます。必ず彼を貴方の元へ連れてくると約束しましょう。」
「やくそく、ですよ！」
私たちは指切りをする。
「これ、やったの初めてです。」
今剣は嬉しそうに笑う。
「そうですか。…安静にしててくださいね。」
私は鶴丸と共に襖を開け、そのまま部屋を去っていった。
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作者名：桜花 | 作成日時：2020年4月24日 0時
