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「僕だったら…『僕を折って解放して』って言う意味で言うかなー。」
「……え？」
やはりか。
「俺に、過去に戻って安定が時間遡行軍になった元凶を殺せって事じゃ……？」
「そんな事したら、清光まで時間遡行軍になっちゃうじゃん。自分が苦しむ事を清光にもさせるわけない。その点に関しては前の僕も一緒だと思うよ。」
「や……す、さだ……。」
加州の骨や瘴気が徐々に消えていく。
「だからさ、そんなに悔やむなよ。相棒を苦しみから解放してあげたんだから。」
大和守は、加州を抱きしめる。
「前の僕に代わって言うよ。『助けてくれてありがとう』。」
「……うわああああああ！！！」
加州は号泣する。
大和守はそれを宥めるように彼の背中をポンポンと優しく叩く。
骨も瘴気も無くなった。
有るのは、純粋な喜びと悲しみだけ。
加州もまた、苦しみから解放されたのだった。
＿＿＿＿＿＿＿
加州が泣き止んだ頃、大和守はこちらを振り向く。
「…で、前の僕が時間遡行軍になった理由って何？元凶って、まさか主じゃないよね？」
「違う。前の審神者だよ…。」
加州が訂正する。
私も理由が気になるな…。
大和守も腕時計を付けていた、ということは何かの光景をループして見ていたのだろうけど。
「前の審神者は横暴で…、安定が抗議しに行ったら審神者に変な腕時計付けられて、沖田君が死ぬ場面を延々と繰り返し見させられたんだ。」
元の主が死ぬ場面を…！？
なんて惨い…。
「うわ……。それやられたらおかしくなるな…。」
「沖田君を助けたかったんだろうな。時間遡行軍になった安定が、労咳を治す薬を持ってたよ。」
加州が顔を歪める。
「…まあ、安定の言葉の真意に気づかせてくれて、俺を助けてくれて、ありがとう審神者。」
「それが役目ですので。」
加州は驚いた後、そっかと笑う。
「すっかり取り乱しちゃってかわいくない姿見せちゃったなー。ねえ、ネイル持ってない？」
「ネイルどころか化粧道具すら持っていません。」
「えー！せっかく綺麗な顔してんのに勿体ない！」
加州は手を掴む。
「ねえ、今度一緒にお店行こーよ。俺が選んであげる。」
「別にいらないのですが…。」
…まあ、このくらいはいいか。
「いえ、いいですよ。」
「やった！」
さっきとは打って変わって明るい表情になる。
先程まで時間遡行軍になりかけてたというのに、切り替えが早い人だ。
「じゃ、俺安定に本丸を案内するからまた日にち決めよーね、主！」
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作者名：桜花 | 作成日時：2020年4月24日 0時
