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「三日月！！！」
鶴丸が三日月の背中を斬ると、首を絞める力が少し緩む。
その隙に私は彼の腕から離れることに成功した。
「はあ…！はあ…！」
まだ絞められているような感覚がする。
本気で危なかった。
三日月は鶴丸の方を向く。
「鶴…。よもやお前が俺を斬るとはな。」
「流石に無実の罪で殺されるこいつが気の毒でな。」
鶴丸はそう言いながら私に目線を向け、三日月を指し示すように顎を動かし、うなじをトントンと叩く。
三日月のうなじを見ろって事…？
彼のうなじを見ると、そこには黒い宝石が埋め込まれていた。
まさかあれが三日月がおかしくなっている原因…？
「こいつを庇うのか。」
「まあそうなるな。」
三日月と鶴丸は互いに刀を構える。
「なら邪魔されぬようにまずはお前から片付けておこうか。」
「まさか三日月と戦う日が来るとはな。」
鶴丸はまた私に視線を向け、うなじを少し強めに叩く。
あれを壊せってことか？
鶴丸が彼を引きつけている間ならいけるかもしれない。
私は小さく頷く。
それを見ると、鶴丸は三日月に斬りかかる。
カキンッ
「甘いぞ鶴。腕が落ちたな。」
「前の審神者が全然出陣させてくれなかったものでなっ！」
「主を言い訳に使うな無礼者！」
凄い…。
動きが速く、お互い次の一手を読み、攻撃を上手くかわしている。
あれが『戦闘』…。
ついこの間までただの学生だったから生の『戦闘』の迫力に見入ってしまう。
…いや、そんなことをしている場合ではないな。
私は、三日月のうなじに集中する。
次々と移動していくが、段々規則性が見えてきた。
鶴丸が私が攻撃しやすいように考えて動いてくれてるのだろう。
次左へ行ったら真ん中へ移動するから、その時に壊そう。
私は、霊力を自分の右拳へ思い切り溜めていく。
こうすることによって、右拳の力が飛躍的に上がるのだ。
よし、ちょうど左へ行った。
私は全速力で走る。
そして真ん中へ移動し、彼のうなじに私の拳が当たる
はずだった。
私の拳は赤く染まっていく。
そう、刀が刺さっているのだ。
「見え見えだぞ。」
「審神者！！」
鶴丸が斬りかかる。
三日月は、それを鞘で制す。
「貴様らの行動なんぞ、主に比べればまるで遊戯のようだ。」
さすがに鶴丸の合図で分かったか…。
「おっと、こいつは驚きだ。…まあ、こんなもん序の口だ。次はとびっきりのやつお見舞いしてやる。」
そう言って、鶴丸は私に向かってウインクする。
…それ何の合図？
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作者名：桜花 | 作成日時：2020年4月24日 0時
