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「……はあっ!!?」
「…ぁ、」


ぐいっと万里くんの胸板を押して慌てて距離をとる。しんとした空間にバクバクするわたしの心臓の音が大きく聞こえてる気がしてる。

なにいまの。
唇が触れた、よね…?

自分の唇を指先でなぞってみるけど、わかるわけもない。でも確かに、万里くんの綺麗な顔が近付いてきて、…そして……。


キスって、そこまで味がしないんだ。私が想像したロマンチックな風景なんて欠片もない。
それにこれがわたしのファーストキス、か。



「万里くんどういう…」

「…初めてだった?」

「え、……うん、」

「ごめん、マジ。抑え効かなくなったつーか。…あー、最低じゃん、俺。」


「ごめん、」と本当に申し訳なさそうにする万里くんにモヤモヤする。


万里くんは、はあ、とため息を吐いて。まるでやっちゃいけない事だった風に。…なんだ。変にドキドキしてたのはわたしだけだったみたい。



「…わり。ホント」


…ああ、なんかモヤモヤ通り越してイライラしてきたかも。


「ノーカンだと思って…っ、」


気付いたらわたしは、万里くんの首筋に腕を回してそのまま唇を重ねていた。

…自分でも頭がおかしいと思う。なんでこんな行動に出ようと思ったのか分からない。でもなんか、すごいムカついて。わたしのファーストキスがうやむやにされることに腹が立って。


「、なにしてんだ、お前!?」

「……わたしのファーストキス」

「は?」

「事故でもなんでもいいけど、うやむやにされるのがいちばんいや。嘘でもちゃんもらって」

「…は?」

「万里くんのばか!」



そう吐き捨てて勢い良く、屋上から飛び出したはいいけど…。

ヤバイヤバイ。なにをやってるんだ、わたしは。
自分からキスして、ファーストキスもらって、って…ただのメンヘラじゃん…。
いやそういうつもりで言ったわけじゃないけど、…ただ私の最初のキスがなかったことにされるのが嫌で。でも、…ああ、どうしよう。

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りつ - とても素敵な作品ですね^^*是非更新を頑張って頂きたいです。 (2018年6月11日 18時) (レス) id: 8e344e4123 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いさ | 作成日時:2018年3月30日 2時

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