必死の弁解 ページ9
.
一通りの自己紹介が終わると先程の自己紹介でナギと名乗っていた人に今度は自分の番なのだと促される。
「あえっと、鳴海っ、A、です……。環くんとはゲームで知り合って、あのっアイドルだとは知らなくて、ほんとに、あっ、すみませんでした！！！」
近づくことが目当てだと思われまいと必死に弁解をするが、思っていたより大きな声が出てしまい逆に怪しまれたのではないかと咄嗟に後悔する。
「そ、そんなに必死にならなくても大丈夫だよ」
「そうそう、お兄さん達もAちゃんがそんな目的でタマと仲良くなったと思ってないからさ」
急なちゃん付けにあたふたしていると、落ち着きのない人ですねという声がどこからか聞こえてきて、これは絶対に一織さんだと分かる。
一織さんは私の一個下で環くんと同い年だと聞いたが、そこら辺の大人よりもしっかりしているように見える。まさにパーフェクト高校生という感じだ。
「ほ、ほら！鳴海さんも三月の焼いたクッキー食べてみてください！すっごく美味しいんですよ！」
一織はいつも言い過ぎなんだよ、とさり気ないフォローを入れてくれているのは笑顔が眩しい陸さん。この笑顔と明るさは誰もを幸せにする天使だと思う。そんな人に笑いかけられたらそりゃあ一瞬で虜になってしまうのも無理はない。
「あ、ほんとだ。すごく美味しい、です。」
口に入れた瞬間サクッとした食感と程よい甘さが口いっぱいに広がるクッキーは、何個でも食べられそうな気がしてくる。
「だろだろ？腕によりをかけて作ったから喜んでもらえて嬉しいぜ」
圧倒的ホーム感に飲み込まれていたが、二ヒヒという効果音が聞こえてきそうな三月さんの笑顔を見ていると改めてアイドルだなぁと実感する。
それと同時にこんな空間に私なんかが居ても良いのかという焦りが浮かんできて、咄嗟に帰らなければという衝動に駆られた。
「あのっ、私、あまり長居するのはみなさんにご迷惑だと思うので、失礼しますね！クッキーも紅茶もすごく美味しかったです！本当にありがとうございました、では！」
「え、なるみんもう帰んの」
ここに来て初めて環くんの声を聞いた気がするよ私。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なつめみく - まさかの終わり？！ええええええ、、でもなんかすごい余韻に浸るわ、、えちょまってがちほんとこの作品神すぎるよ？？だって言いたいこと全部忘れちゃったもん(？) (10月3日 15時) (
レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
透明(プロフ) - 完結おめでとうございます！途中記憶喪失になったのはビックリしましたが最後に環と再開し、また1から関わりアイナナ達との記憶が甦ると私の想像が広がりました！！次回作も楽しみにしています。 (2021年9月26日 11時) (レス) @page31 id: cdcfd9ec48 (このIDを非表示/違反報告)
春 野(プロフ) - 透明さん» 初めまして。そう言っていただけるだけで意欲が湧いてきます！本当にありがとうございます、頑張ります！ (2021年8月22日 13時) (レス) id: ca5d349695 (このIDを非表示/違反報告)
透明(プロフ) - 初めまして、私が好きな設定の話でしたので読んでみたら凄く面白かったです！ゆっくりでいいので、これからも更新楽しみにしています！！ (2021年8月21日 21時) (レス) id: cdcfd9ec48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春 野 | 作成日時：2021年8月17日 0時
