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記憶を辿る ページ25

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懐かしい匂いがする。


小学生の頃、運動会で一度だけ熱中症で倒れたことがあって、その時微かに鼻に残っていた消毒液の匂い、そんな匂いがする。

うっすらと目を開けると飛び込んでくるのは真っ白い天井。徐々に起きてきた神経が身体中を巡ると、左手の指先に微かな温もりを感じる。


「お…母さん…?」

「A!目が覚めて良かった…」

「ここ…病院…?」

「そう、AIDOLiSH7のライブに行く途中に信号無視してきた車に跳ねられたって…」


お母さんの顔がいつもより少し老けて見えて、ずっと私に付いていてくれたことは聞かなくても分かった。話をしようとして少し体を起こそうとすると全身に激痛が走る。

「まだあんまり体動かさない方が良いって、お医者さんが言ってたわ」

「分かった…」



再び天井と向き合うと、さっきから疑問に思っていたことを口に出す。

「お母さん、アイドリ…なんちゃらって何?」

さっきライブに行く途中に跳ねられたって言ってたけど、私は何のライブに行こうとしていたのか、それが全く思い出せない。そもそも私が何かのライブに行くなんて考えられない。


「IDOLiSH7、アイドルよ、憶えてないの……?メンバーの人たちとすごく仲良くなれたってあんなに楽しそうにしてたのに…」

アイドル?メンバーの人たちと仲良く?
一般人の私が仲良く出来るほど距離が近い人たちなの?地下アイドルとか??


私の思考が1人歩きしてしまう前に本当のことを知らなきゃ。携帯を出そうとしてポケットには入っていないことに気がつく。そんな私に気がついたのか、お母さんが私のを使ってと携帯を差し出してくれる。


「事故にあった時に携帯も一緒に壊れちゃったらしくて、今復元をお願いしてるところなの…」

そっか、ありがとうと一言言うとお母さんの携帯で『IDOLiSH7』と検索をかける。すると数多くの画像やサイトがすぐにヒットした。一通り読み終わり公式サイトを見ると、2日前に東京でライブがあったことを知る。

「私、2日間も寝てたの…」


私を見てくれた担当医師によると、事故によるショックで一部の記憶が抜けている可能性があると言うことが分かった。

自分の名前は言えるし、お母さんの名前や住所、日常生活に関するものは全て覚えている。それなのにお母さんから聞いた人たちのことを何一つとして憶えていないことに胸がモヤモヤするばかりだった。



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静かな手紙→←見えない不安



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なつめみく - まさかの終わり?!ええええええ、、でもなんかすごい余韻に浸るわ、、えちょまってがちほんとこの作品神すぎるよ??だって言いたいこと全部忘れちゃったもん(?) (10月3日 15時) (レス) @page31 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
透明(プロフ) - 完結おめでとうございます!途中記憶喪失になったのはビックリしましたが最後に環と再開し、また1から関わりアイナナ達との記憶が甦ると私の想像が広がりました!!次回作も楽しみにしています。 (2021年9月26日 11時) (レス) @page31 id: cdcfd9ec48 (このIDを非表示/違反報告)
春 野(プロフ) - 透明さん» 初めまして。そう言っていただけるだけで意欲が湧いてきます!本当にありがとうございます、頑張ります! (2021年8月22日 13時) (レス) id: ca5d349695 (このIDを非表示/違反報告)
透明(プロフ) - 初めまして、私が好きな設定の話でしたので読んでみたら凄く面白かったです!ゆっくりでいいので、これからも更新楽しみにしています!! (2021年8月21日 21時) (レス) id: cdcfd9ec48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春 野 | 作成日時:2021年8月17日 0時

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