第2話 ページ2
来る男らはサングラスかけて
きっちり着飾ったシャツひとりと
ごたごたした柄のポロシャツを着崩して
オラオラしてた
借金取りはこんななのか?
毎日毎日飽きもせず朝も夜も寝ずに働いて
ついに父はついに倒れた。
過労によるものだとさ。
次々と辞めていった職員たちの給料でさえ
キツいのに…
大丈夫だ、大丈夫だなんて言ってた父は
ほんとに過労死した
身内だけの葬式。
群馬県に住む伯母も顔を見せにきた。
ありがとう…Aくんもありがとうね
大きめの真珠がほろりと輝いた
毎年のように年賀状を送ってきてくれた人には
喪中のハガキを用意した
亡き父の遺品整理。
お金になりそうなものは売り払った。
祖母から貰った着物、タンスやお皿も。
父が学生時代に流行ったCDは
保存がよく高く売れた。
それでもまだ足りなかった。
だから家を手放した。
すっからかんになった手のひらは
母の手すらも掴むことはできなかった
安っちいアパートを借りて二人暮らし。
学校楽しい?
…うん。楽しいよ
そんな会話でさえ嫌気がさしてくる
中学生であることを隠し
男娼(だんしょう)なんてこともした。
そんなことをしているなどとバレないよう
過ごす日は苦痛でしかなかった。
パートに出ていた母。
仕事で家を開けることが多くなったが
「大丈夫、大丈夫よ」と笑顔だった。
返せど返せど借金は膨らむばかり
もう終わらせられないかな……
中学卒業と同時に俺は働きに出た。
コンビニの掛け持ち。
行きたかった進路先は破り捨てた
そりゃ、夜の仕事は続けてたけど
歳をとった母にこれ以上負担はかけまい
とお金を渡したら俺につくようになった
母は庇おうとしてくれたけど、
大丈夫。もう俺だって働いてる。
母さんは無理しないで
…そう言ってはみたものの
家に帰るのは足重い
貯金のないそこらの若者に
家を貸してくれるような物件なんてないのだ。
最後におかえりなさいを聞いたのはいつだろうか
確か…一昨日の朝だったかな。
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作者名:敬語ペンギン | 作成日時:2019年12月19日 19時