第1話 ページ1
俺はヒーローになりたかった。
悪者をやっつけるなんて夢を持ってた俺は
もう中学になって
どうせ親の工場を継ぐんだろうな
そう思ってた。
ヒーローごっこなんて歳でもないし
今はと言うとこの会社をどうすれば
効率の良いものに、とか。
今の時代にあったものを取り入れるなら、とか。
両親は俺に好きなことをやらせたがった
だから中学では部活をした。
仲間との絆とかそーゆーのが楽しかった。
俺の父は群馬出身。まだ小学生だった父を連れ、
ここ神奈川の…
隅の東京の1番近い場所に工場を立てた。
株式会社 さくら公とゴシックで書かれた看板は
父も子どもながらにそれが誇らしかったという。
まだ若かった2人は運命的にであったのだ
と耳にたこができるほど聞かされた
父より2歳年下の当時24歳母は俺を産んだ
それから俺は中学生に上がり、
部活をやれば友だちも増えた
そんな平和な日常に
突然に突きつけられたのは工場は倒産。
理由は簡単だ。
父が借金を抱えたのだ。
いや、正くは父と親しくしていたご近所さんの
借金を肩代わりしたのだ
母もその人のためならと
サインを了承していたのだった
必ず！必ず返す！だからここだけは！
お願いします！どうか！どうか時間をください
今まで築き上げたものは一気に崩落していく。
俺は部活をやめた。
両手をついて、足にしがみついて。
そんな両親を俺は
ただ哀れだなとしか思わなかった。
おぼっちゃん、
おかえり〜学ランも似合うねぇ
…(ぺこっ
そんでもって借金を背負わせといて
当の本人は行方をくらました。
保険金目当てのそういった行為には
お金は振り込まれないから
そんなことはしないで欲しいところだ。
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作者名：敬語ペンギン | 作成日時：2019年12月19日 19時
