夢の続きを始めよう。【Kazuya.O】 (ページ6)

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「お待たせー！」

数十分後。

ニコニコと彼はベンチに駆け寄ってきた。

左手にはバニラ、右手にはチョコレート。

出来立ての美味しそうなソフトクリームがある。

「はい、バニラ！」

「ありがとう…店員さんとか、お客さんに騒がれたりしなかった？」

「うん、全然」

「そっか、…良かった」

「Aちゃん心配し過ぎ！たかがソフトクリーム買うくらいやで？そんな大騒ぎならんよ」

「でも、せっかくのオフでしょ？少しでも騒がれたら…嫌でも“オン”になっちゃうよ」

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第一、私と今いることが彼は少なからず“アイドル”で過ごしているように思えて。

その点を理解しながらオンオフを言う自分もどうかと思うけど、日頃、全力で“アイドル”を走ってる彼を見ているから。

お休みはせめて、“アイドル”から離れてほしいと感じた。

私の切な想いを聞いた大橋くんは、目を丸くする。

「…ごめんなさい。私の分も買ってきてほしいって頼んだのに、余計なこと言って」

「あ、いや…違うねん。ちょっとビックリしたって言うか」

「…？」

「俺、よく友達にも言われるんよ。一緒に遊んどっても知らんうちに仕事モード？になっとるって。オンオフの切り替えがイマイチできてないんかなって思っとって…」

「それで特別しんどいとかはないんやけど、そもそも“オン”になりそうにしてるのは俺自身なんかなとか、Aちゃんに気付かされた…みたいな？」

“ごめん、最後が疑問系になってもうたけど…ありがとな”

「いただきます」、チョコレート味のそれを眺めていた彼に習い、私も一口入れた。

口の中をほどよく甘い、バニラが広がる。

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不器用でも、届いたのかな。

拙い言葉が…彼に伝わった。これ以上に嬉しいことはない。

泣きそうになるな、私。

「…」

ふと、感じる彼からの視線。

…何だろう。

「バニラ、美味しそう」

「…え」

「一口ちょーだい」

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ﾊﾟｸｯ……

「んーまい！俺もバニラにすれば良かったわ」

「…、…っ………」

「Aちゃん？」

「……良かったら、交換する？」

「え、良いの？やった！ありがとう！」

「……」

大橋くんからまだ口付けていないチョコレート味を受け取り、悶える全身を必死に止める。

…交換、良いも何も、そうするしかないじゃん…

間接キスとかさ、……

もう、終わる…………

彼に発する熱で、溶けそう。

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