夢の続きを始めよう。【Kazuya.O】 (ページ4)

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「みっちーな。この間、ドラマ主演が決定したんよ」

「…あ、もしかしてあの少女漫画原作の…」

「そうそう！さすがよう知ってる！…で、何かおめでとうってプレゼント渡したいなって思って街をブラブラしてたんやけど、ピンとくるものがなくて…」

“そしたらファンの子達に見つかって追いかけられて…”

　
そう苦笑する彼の隣を、私は一定の距離を保って歩き続ける。

離れても感じるスターのオーラ、輝きに変な冷や汗が出る。

「でも、ちょうどみっちーが好きなファンに出会って。ファンやったらメンバーの俺にはない視点で良いもの見つけてくれる気がするし」

「……、私……」

「バンバン教えて！みっちーの好み！」

「……」

……状況を整理しよう。

私は大橋くんに道枝くんが特に好きなファンだと思われていて、彼はただいま、道枝くんのプレゼントを探し中。

道枝くんが何をもらったら喜ぶか、ファンの私にアドバイスをもらって買いたいという…………

……ダメだ。

いくら整理しても頭が回らない。

実里だったら多分、夢に見たシチュエーションなんだろうなぁ…

私より道枝くんの趣味嗜好が分かってるはずだし。

今すぐ代われるものなら代わりたい。

“なら代わって！！”

…凄い形相で自分に迫る彼女が目に浮かぶ。

でも、そんなことはできない。

こんなにもメンバー愛に溢れる彼の手作いを断る訳にはいかない。

残された道は、彼と精一杯、選ぶ一択。

…意を決した。

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「…そう言えば」

「、はい？！」

「まだ名前聞いてなかった。名前、何て言うの？」

不意に、大橋くんが私の方に顔を向ける。

思いもよらない距離感にビクッとした。

「え、私の…名前ですか？」

「他に誰がおるん(笑)」

確かに…我ながら変な質問。

見渡す限り、彼が自分以外に名前を聞くような方はいない。

「…あ、……逢沢…A、です」

「Aちゃん、ね」

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ーー……トクン。

ただ、名前を呼ばれただけなのに。

「おっ、古着屋さんある！見てみよ！Aちゃんは古着好き？」

「、…好きです、」

「よし！何か良いのあるかなー、すみませーん…」

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くすぐったい。

胸が高鳴った。

“Aちゃん”

私の名前って、こんなに輝いてた……？

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