夢想花 “pink” ページ9
・
side pink
「…また溜息」
「違うよ、これは地球に二酸化炭素を与えてるの」
そんなの地球は欲してないじゃん、
なんて呟きは聞かなかったことにして
そのうるさい唇を塞ぐ
「冷たい」
「これが今の俺の気持ち」
「ひどい」
京本、
そう笑いかける北斗を見られるのは今日で最後らしい
「もし明日から道で見かけたら、ロード・リーズデイルと呼ばなきゃかな？」
あ、街中を伯爵様が歩くことなんてないか
そう納得して呟きは空気に溶けた
「もし京本、と呼ぶことが難しくなったら。フィリップ、って呼んでよ。この名前なんて家族しか知らないから」
「フィリップ、か。そう聞くと改めて京本が異国人であることを思い出すよ」
北斗は俺の屋敷の庭師で
俺はその屋敷の主人で
外交官としてやってきた日本で彼を見つけた瞬間、
あぁ俺は今までこの人に出会う為に生きてきたのだと
自分の存在理由を悟ったものだった
「このサラサラの金髪もその薄く青い目も全て綺麗だったな」
「ふ、なら母様に感謝しないとね。おまけに日本語を教えてくれたし」
英国に爵位を持つ俺、の母様は日本人だった
親日家の英国人の父が日本から連れ帰ったのだ
「北斗の瞳も髪も綺麗だ。暗くて黒くて吸い込まれそうなのに、それを拒んでる」
「…まるで俺の性格みたいだね」
ふふ、と笑った時に見える歯が可愛くて
北斗がもし両親と死別していなかったら、さぞ可愛がられたのだろう
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 765人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷりむら
| 作成日時：2021年3月10日 15時
