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「おねがい！！今日当たるんだよ〜！北斗のお願い一個聞くから！！！」
パン！と音をさせ手を重ねた慎太郎は、居たことはないけど弟みたいで可愛いなと思う
「ほんとになんでも聞いてくれる？」
「…とんでもないのじゃ無ければ！あ、あと金も！」
基本的にいつも一緒に帰る樹が今日は遅くなる
ということはつまり俺は一人で帰路につくわけだ
「慎太郎、今日一緒に遊んで」
「え？」
「それが俺のお願い。だめ？なら写させない」
「いやいや、驚いただけ。だって別にお願いて言わなくてもそんなんするけど」
そう言ってヘラ、と笑う顔は何処となく樹に似てる気がする
だから慎太郎にここまで心を開いたのだろうか
「何の話？」
「樹！おはよ〜今日も朝からよくやるわ」
さっきまで女に囲まれていたはずの樹は何故か俺の肩を掴んでいて、
遥か後ろで女の視線を感じた
「ね、俺睨まれてるから」
「誰に？」
「樹の女の人達に。ほら早く戻って」
そう言って手を外そうとするのに、思いの外強い力で掴まれている
てかこれ後ろから掴んでるからバックハグじゃない？
そう意識してしまったら、もう俺の心臓は止まる事なく音を立てる
「北斗身体熱いな、熱？」
「え！？北斗、熱あるの？」
覗き込むな。
耳元で話すな。
自分の顔に熱がどんどん集まり、今にも沸騰しそうだ
此奴は知らないんだろう、
俺がお前の一挙手一投足にどれだけ胸を鳴らしているのか
俺がお前の言葉にどれだけ胸を弾ませているのか
俺がお前のことをどれだけ好きなのか
そんな事を知らない無知で残酷な樹は、今日も俺の耳元で囁く
「北斗、辛かったら言えよ」
辛い、
辛いよ、
こんなに樹を好きでいても絶対に報われないっていうのに、
それでもなお樹を想ってるのが辛くて仕方ないよ
ねえ、この気持ちはどう昇華したらいいの？
そんな問いを浮かべてみてももちろん解決策なんかない
「ちょっと体温上がってただけ！熱なんてないから、」
強く押し返せば思いの外簡単に外れた樹の腕
振り返れば少し驚いたような顔をして俺を見ていたけど…まあそれも特に樹が気に留めることはないだろう
樹は何か言いたげに見てくるし、取り巻きの女には睨まれるし、慎太郎は困ってるしで居た堪れなくなった俺はその場から走って逃げ出した
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作者名：ぷりむら
| 作成日時：2021年3月10日 15時
