you know I love u? -2- (ページ33)

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side pink

楽屋を開けた瞬間、見たくない光景に目を逸らしたくなった

北斗が目を閉じている間しか近寄らない俺、

と

北斗が目を開けている間も体を預けられる樹

距離は出来たと思っていたけど、まさかここまでとは

俺が恐る恐る触れていた髪にだって自然に手をやっていた

「勝てるわけないか…」

とりあえず落ち着いて気持ちを変えよう、

自販機の前に立ち普段は飲まないブラックコーヒーのボタンを押す

「…そんなの好きじゃないじゃん」

背後から聞こえた声に振り向けば樹が立っていて、

いつものように困った顔して笑った

「きょもはこっちでしょ？」

そう言ってトマトジュースのボタンを押される

まあ普段はそうだけど、今はちょっと浸って考えたい気分だったんだよ

そんなこと悩みの元凶に言えるわけなくて、

黙って俺の手からコーヒーを取りトマトジュースを手渡す樹にされるがままに従った

「…好きなんでしょ？」

長い沈黙、

その後に主語のない言葉が続く

「…好きだよ。樹もでしょ」

何が、なんて言わなくても分かってる

「…あぁ、うん」

このコーヒー苦えな、

そう笑った樹が感じた苦さはきっとコーヒーのせいじゃないと思う

「戻ろっか」

俺はただそう発して楽屋に向かって歩き出した

足取りは重いのに、北斗を眺められると思うと悪い気分じゃない俺は厳禁な奴だと思う

「あ、帰ってきた…」

楽屋に入れば、さっき見た時以上に具合の悪そうな北斗が手を振ってきた

「お前…今日やめとくか？」

俺の後ろから北斗の元へ走った樹はそのまま隣に腰掛けた

あぁ、自然だし見慣れている

そう思って向いのソファに腰掛けようとすれば、北斗が手をこまねいた

「きょーもと、こっち」

「へ？」

そう指されたのは樹とは逆側の北斗の隣

樹も怪訝な顔して北斗を見つめている

「熱、上がりそう…寒いの、近くいて」

そんな風にお願いされれば、誰が断れるんだろう

「…ん、いいかんじ」

俺と樹を左右に置き腕を組んでそのまま目を瞑った

「…しばらく同盟でも組む？」

北斗が完全に眠ったことを確認して樹が呟く

「何の？」

「北斗は俺らのどっちかにしか渡さない同盟」

「…それもいいかもね、」

険悪になるかと思えば、やっぱり長年の付き合いだから

北斗越しに樹を見ればそれはもう優しい顔で見つめている

「北斗も好きだけど、樹も好きだよ」

fin