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はぁ、
吐いた息はやっぱり白かった
冬の屋上は凍えるように寒くて俺以外人なんていない
キーンコーン、
チャイムが聞こえるからもう授業が始まるらしい
何だか行く気にならなくてこのままサボることを決めた
きっと慎太郎が保健室とでも言っておいてくれるはずだ
はぁ…
脳裏に女といちゃつく樹が浮かび上がってきて思わす溜息をついた
「なに溜息ついてんだよ」
聞き慣れた声がして振り向けば、いつの間にか樹が立っていた
「な、にしてんの」
「…こんな寒いとこいたら風邪引くぞ」
「授業は？」
「お前と一緒、サボった」
当然のように言った樹はそのまま俺の隣に座る
「冷た！こんなとこ座ってたのかよ」
「いいじゃん、落ち着くんだよここ」
誰かさんに心を乱されているせいで冷たい場所が好きだった
俺の火照りとかを冷ましてくれるから
なのにその元凶が隣に座ってきて、また体温を取り戻し始めてしまう
「なぁ、」
「何？」
「はぁ…息白くね？やば」
呼びかけたくせにただ息を吐いた樹は別に話すことなんてなさそうだ
「…俺保健室行くわ。ここ寒いし」
そう言って立ち上がろうとすれば左手を掴まれる
「何？」
「座ってろよここに。北斗いないと俺寒いだろ」
「知らないよ。誰か呼べばいいじゃん」
もうこれ以上傷付きたくない
悩んで悲しんでそれでも一緒にいたくて、辛くて辛くて仕方ないから
「北斗じゃなきゃだめなんだよ」
「…は？別に風除けなんて俺じゃなくても」
「俺の隣は北斗じゃなきゃだめだし、北斗の隣にいるのも俺じゃなきゃだめなんだよ」
樹が何を言っているのか理解できない
何で此奴はこんなことばかり言うんだ
俺のことをかき乱すようなことばっかり、思ってもないくせに
「…何言ってんの？そんな誰にでも言ってること俺にまで言ってどうすんだよ…」
「さすがにこんなん誰にでも言わない」
「…大丈夫、俺ら腐れ縁じゃん。きっとこの先も隣にはいるよ」
「そういう意味じゃなくて…望んで隣にいて欲しいってか、」
いつもならすらすらと吐きそうな甘い言葉ばかり口にしてるくせに、やけに言い淀む樹はちょっと変だ
わざわざ屋上まで追っかけてきたのとかあり得ないし
樹こそ風邪でも引いてるんじゃないか？
熱を確認しようと身体が近付けたタイミングで左手が引き寄せられそのまま、
唇が触れた
「こういうこと…わかった？」
「…わかんない」
fin
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作者名：ぷりむら
| 作成日時：2021年3月10日 15時
