苦手な数学の時間~本田菊~ ページ1
『…っ』
わたしは不幸だ。
次の授業が大嫌いな数学の授業だというのに
わたしとしたことが予習を忘れていたなんて。
今日は14日。わたしの出席番号は14。
…うん!終わった!…
わたしは思いきり机に突っ伏した。
顎を打ち、すごい音が鳴る。
菊)…全くあなたは。今日はなんですか?
隣から聞こえる、凛とした声。
本田菊…。
学年1の秀才。
なにも答えないわたしに菊はわたしのノートを覗きこんだ。
菊)あ、予習。
…さすがだ。よくわかっている。
菊)数学、次ですよ。今のうちにやったらどうですか?
あ、そうか!それがあったか!
勢いよく教科書を開き、問題を凝視する。
『…………』
菊)?
…駄目だ、わからない…っ
菊)どうしましたか?まさかとは思いますが…わからないんですか?
『うっ…』
菊)図星のようですね
う…しょうがない、こうなったら…
『お願い!菊、答え見せて!』
当たって答えられなくて叱られるのは勘弁!
菊)なにいってるんですか。自力で解かないと意味がありませんよ。
『お願い!なら教えて!』
菊)善処いたします。
ガーン…………………
『お願いだよ!菊!ねえってば…』
キーンコーンカーンコーン…
市川)はい席つけー
…わたしは不幸だっ…
数学の先生といえばあの怖い市川先生…
ああ、やっちゃったなぁ(><)
となりを一瞥する。
見えたのは涼しげな菊の顔だった。
なんつーひどいやつだ全く…
市川)今日はここからだな。問7。えーとじゃあ今日は…14日。14番、A!前来て書け。
よ、予感的中…←
どうしよ…ここは素直に怒られるしかないか…
わたしは立ち上がりつつ口を開いた。
『え、えとあの…』
市川)ん?
バサッ
え、なにこれ…ノート?
『あっ…』
わたしはすぐに菊へ視線を移す。
菊は目を合わさなかった。
だけど微かにふわりと笑うとこくんと頷いた。
よ、よし!
『あ、先生なんでもなかったです!』
緊張で汗ばんだ掌でしっかりとノートを持ち、黒板へ。
問7…これだ。傍接円の問題。
ノートをすらすらと移す。
綺麗な字。なんだか菊らしい。
そのまま何事もなく授業は終わった。
わたしは菊を盗み見た。
『…菊』
菊)……………
『ね、菊!』
菊)………なんですか
『さっきはありがと!なんだかんだで助けてくれた。菊は優しいね☆』
菊はなにもいわずにまたふわりと笑う。
菊のその笑顔がこれからも見たいと思った。
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結癒(プロフ) - 未紗季さん» 御観覧、コメントありがとうございます!わたしの中での菊はいつもそんな感じなんですよね(((・・)菊、大好きです♪ (2012年9月18日 0時) (レス) id: b24d9d0974 (このIDを非表示/違反報告)
未紗季(プロフ) - 菊優しっっ!神ですっ!ごちそうさまでした!←え (2012年9月17日 15時) (携帯から) (レス) id: 9649b8c8b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結癒 | 作成日時:2012年9月14日 20時