ぴゅあ恋 (ページ18)

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優斗 side

人の波に呑まれて、気付けば隣にAがいなくなっていて。

夏とはいえ辺りは少しずつ暗くなって、屋台の灯りを頼りに走り回る。

誰かに連れ去られてたら、ナンパでもされてたらどうしようなんて頭の中を支配するのは不満ばかり。

「あれ、優斗？」

「…あ、」

声をかけてきたのは隣のクラスの数名。

去年同じクラスで仲良かった男子達だ。

「ごめ、俺今急いでて…」

「どうした？」

「ちょっとはぐれちゃってさ」

「あ、もしかして栗栖？」

「そうだけど、」

「早く付き合えよ～！」

「い、今そんなこと言ってる場合じゃないから！」

肘でグイグイつついてくる奴らを引き剥がすと、ごめんごめんと笑われる。

すると、隣にいた奴があれでも…と切り出した。

「栗栖なら俺さっき見たけど…」

「え？いつ？」

「トイレ行った時。でも誰かといた気がするぞ？」

「ナンパとかされてた！？」

「ち、違う違う！」

両肩を掴んでぐっと顔を近付けると、落ち着け！と引き剥がされる。

落ち着いていられるか、誰かといたなんて一大事だ。

「そんな危ない奴じゃなくて…えーと、

あ、あのイケメン転校生！」

頭が真っ白になるとはこのことだろうか。

気付いたら俺は、走り出していた。

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