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『よっ』
「よ！」
朝、登校してきて廊下を歩いているAの背中を軽く叩けば、右手を挙げてふざけてくる。
真似すんなよ、と頭をくしゃりと撫でれば嫌そうに首を竦めた。
「ね、今日転校生来るって」
『まじ？どんな子？』
「イケメンだって！」
『………あっそ』
「あ、可愛い子期待してたでしょ」
イケメン転校生……って、少女漫画かよ。
どんな奴だか知らないけど、楽しみだなぁなんてルンルン気分のAを見てたらそりゃあまあ気が気じゃなくて。
どうやら勘違いしてるらしいAは、残念だったなと俺の肩を叩いた。
『別に期待してませんけど！』
「ふーん？どうだか」
『信じてねぇだろ』
「ジュース奢ってくれたら信じてあげるのになぁ」
『おいこら！』
また頭をくしゃくしゃにする俺から逃げるように、Aが走り出す。
それを俺が追いかけて笑って、教室に入ったらまた笑う。
あれ、これなかなか青春してね？なんて思ってると後ろから声が聞こえた。
「そこ退いてくれる？バカップル」
『うげ、碧……』
碧「相変わらず仲良しなことで♡」
『るせぇよ』
「今日も早いね〜、どしたの？」
碧「イケメン転校生って聞いて飛んできちゃった」
『…面食い』
碧「は？」
思ったことを口にしただけで思い切りガンを飛ばされる。
あー、怖い怖い。
碧「優斗、気を付けた方がいいよ」
『は？何が？』
碧「転校生。想像以上のイケメンだったから」
『…あ？』
碧「Aの好みだと思うんだよなぁ、あの顔」
いやいやいや。
碧じゃあるまいし？
Aはそんな顔だけでコロッといくような女じゃ…ってか、そもそもイケメンかまだ分からないし。
碧と違ってAはその辺は疎いし、きっと大丈夫…！
…なはず。
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作者名：まれぴゅま
x他3人 | 作成日時：2020年6月28日 1時
