許されたい (ページ4)

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なんとか外に逃げ出した男たちの目の前に派手髪の男が煙草を咥えて立っている。怪力自慢の男が殴りかかるも焦った様子を見せない派手髪の男は煙草の煙を吹きかけた。煙が目に染みたのか少し怯んだ男が急に苦しそうに咳き込み地に伏せた。

「お前・・・能力者だな」

「へえ、能力者のこと知ってんだ」

楽しそうに呟いた男は銃を構えて此方に視線を向けた。その瞳は群青色に光った。能力者だが武器を持っていると言うことは戦闘に不向きな能力なんだろう。そう判断した男たちは銃を構え一斉に引き金を引いた。

銃弾を躱し近づいてきた群青色が男たちの間をすり抜けていく。火薬の匂いに混じって甘ったるい香水のような匂いがする。なんの匂いか確認するように深く息を吸ったが最後、喉の奥が締め付けられるような感覚と歪んでいく視界にこれは毒だと確信した。

「そんなに吸い込んだら駄目だよ
　・・・ってもう手遅れか」

新しい煙草に火を付けて気怠そうに呟いた男は薄く笑みを浮かべると倒れた男たちのポケットを漁り小さな鍵を見つけ頬を緩ませた。

「金庫の鍵ゲット」

胸ポケットにしまうと煙草の火を消し群青色の瞳を元の色に戻して建物の中に入ろうとした。わずかに意識が残っていた男が最後の力を振り絞りその足を掴む。舌打ちをした派手髪の男は足を上げ男の手を振り払うとそのまま背中を踏みつけしゃがみ込んだ。

「汚い手で触らないでもらっていい？」

群青色の瞳を光らせると男の右肩にナイフを突き刺し勢いよく引き抜いた。傷口から紫色の液体が溢れ出すと衣服が溶け皮膚が露出する。猛毒に苦しむ男を横目にナイフを軽く拭き取り今度こそ建物の中へ入っていった。

京本大我能力：闇

影や暗闇を自由に移動することができる。人やものを飲み込むこともできる。武器として操ることも可能。その他にも能力があるが誰にも話したことはない。

田中樹能力：毒

体の中で毒を作り出すことができる。普段は銃やナイフに毒を仕込み戦っているので能力者と気づかれることは少ない。息や体液に毒を混ぜることも可能。煙草の煙に毒を混ぜることも多い。