20話 ページ22
Noside
「早く終わらせて、たぴおかとやらを買いに行こう」
そう言いながら、小屋の中と繋がる扉を開けた紬
するとそこは、何一つない草原だった
「これが五条が言っていた生得領域か…」
一回目の任務でも、特級相当の呪霊と戦ったが
あの呪霊は特級になりたてホヤホヤだった為、まだ生得領域を広げていなかった
「……探すの面倒いだよな
素直に出てきてはくれないだろうか」
それとも……と続きの言葉を言う前に、右横から何かが紬を襲う
だが紬も分かっていたのか、簡単に避けられたのだ
「(透明の式神…?
それとも、また別の何かか?)」
周りを警戒しつつ、思考を回す紬
だが、答えには辿り着けず
「(取り敢えず、この中を走り回ってみるか)」
走り回ったらいつか呪霊に会うだろうという思考の紬
なんとも単純な思考である
〜数分後〜
生得領域を走り回っていた紬は、この生得領域の主である呪霊と会っていた
「ニシッ…ニシシシッ」
気持ち悪い笑い方をしながら、紬を見ている呪霊
一方紬は、刀を構える体勢をしていた
「月の夜の影は光し 光の影は薄れる」
呪文のようなものを読んだ紬は、構えていた刀を呪霊の手足に向け振り落とした
ｻﾞｼｭｯ
そんな音と共に、生得領域は閉じられ
小屋の中には、窓の人間らしき数名の死体が転がっていた
「来世は、幸せに暮らしていますように」
人形である紬にも、心はあるのだ
痛む気持ちも、悲しむ気持ちも、楽しむ気持ちも
ただ、知らないだけなのだ
その場を離れた紬は、補助監督に小屋の中の事を伝え
五条に呼ばれた場所へと向かったのであった
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作者名：つきみのまる | 作成日時：2024年1月4日 21時
