弐拾伍歳 漆 ページ41
*
みんなが帰った屋敷はすっかり静まり返って、先程までの喧騒がまるで夢の様だ。
桜寿郎はしゃぎ過ぎて疲れたのか、もう寝てしまった。
私達はその寝顔を見ながら、この日が通り過ぎるのを名残惜しく噛みしめる。
「今日は忙しかっただろう?」
「えぇ、でも皆さんが楽しんでくれて良かったです」
「そうだな!
……A、ありがとうな」
「何ですか、急に?」
「いや、俺は幸せだと思ってな!」
「ふふっ、これ位で済むと思ったら大間違いですよ。
これから、もっともっと杏寿郎さんは幸せになって貰うんですから!」
「なんと!
それは楽しみだな!!」
すると杏寿郎さんの声が大きかったのか、むにゃと桜寿郎が目を開いた。
「ちちうえー」
「む、すまん!
起こしてしまったか?」
「……おうじゅろうは、ほしいものがあるのです」
「何だ?」
「おとうとがほしいのですが、どこでうってますか?」
「ん"ん"っ!?」
私達は目を見開いて、顔を見合わせる。
「むぅ……
そ、それはだな……」
「コホン。
桜寿郎が良い子にしていたら、出雲の神様が頃を見て赤ちゃんを授けて下さいますよ」
「じゃあ、ぼくいいこにして、まいにちかみさまにおねがいしますね……」
桜寿郎はそう言うと、またうとうとと瞼を閉じた。
「ふむ……
俺も二十五になったし、次の子を考えても良い頃合いだな。
弟か……俺は君に似た女の子も欲しいのだが」
そう言うと杏寿郎さんは、ニヤリと笑って艶っぽい瞳を私に向ける。
「私は男の子でも女の子でもどちらでも良いですよ。
どちらにしても、杏寿郎さんと同じ顔なんでしょうから」
「ふむ……
よし!」
杏寿郎さんは、桜寿郎に布団をかぶせると私の手を取って耳元で囁いた。
「奥の部屋に行こう。
あそこなら、誰も来ない」
私は小さく頷くと、その手に引かれて立ち上がる。
そして頬を赤く染めて俯く私を、杏寿郎さんは愛おしげに優しく抱き寄せた。
私達はくすくすと笑い合うと、そっと部屋を抜け出して、手を繋いだまま小走りで奥の部屋へと向かった。
ーーー終ーーー
☆このお話は時系列としては本編エピローグ前の誕生日です☆
煉獄さん、お誕生日おめでとうございます!
あなたの人生がこれからも幸多からん事を心から祈ってます。
あなたと出逢えてとても幸せです!
これからもあなたの幸せなお話を書かせてください。
心から感謝を込めて。
華
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華(プロフ) - ビタミンS様、コメントありがとうございます(*´ `)あの二人には、やっぱり幸せになって欲しいなと思ってました。原作の無限城ではめちゃめちゃ泣きました。みんな纏めて幸せにしてやる!リクありがとうです!頑張りますね(*´∀`*) (2021年6月21日 22時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ビタミンS - 華さんお久しぶりです!!今回の話めちゃくちゃ良かったです!!小芭内と蜜璃ちゃんの結婚式本当に幸せになれて良かったですΣ(ノд<)リクエスト、人間に戻ったねずこちゃん&炭治郎達が煉獄さんの家にお邪魔する話をリクエストさせてもらいます。 (2021年6月21日 0時) (携帯から) (レス) id: 8e18fd10fc (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - リア様、コメントありがとうございます(*´ `)ご期待に答えられるかは分かりませんが考えてみますね!リクエストありがとうございました。 (2021年6月20日 23時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
リア - リクエストで大正時代にお母さんが来た!というのが見たいです。 (2021年6月20日 17時) (レス) id: 0f0e1e4722 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)キュンキュンと言ってもらえてすっごく嬉しくです(*´∀`*)はい、是非是非!ご期待に答えられるかは分かりませんが(^_^;)お待ちしていますね! (2021年6月20日 13時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年2月18日 7時