【鬼滅の刃】ハッピーエンドを目指して６【煉獄杏寿郎】

氷解　壱拾　☆* ページ5

「これ、使って下さい。」

「何だ？」


渡された包みを開くと、黒基調に赤と黄色とが編まれた組紐が入っていた。


「組紐か？」

「はい、杏寿郎さんの髪に似合いそうな色の紐で編んだんです。

いつも、身に着けて貰えたら嬉しいなって…」

「そうか！

A、君が髪を結わえてくれないか？」


俺がそう言うと、Aが俺の背にまわり髪を一つに組紐で結えて、

「良く似合ってます。」

と嬉しそうに言った。


俺はAの方に向き直って、礼を言う。

「ありがとう、大切に使わせてもらう！」

「今日は本当に、お誕生日おめでとうございます！

産まれてきてくれて、ありがとうございます。」


そう言って、Aは手を合わせた。


「む？」

「杏寿郎さんの母上様にも、杏寿郎さんを産んで下さってありがとうございますって、お礼を言ったんです。

杏寿郎さんのお誕生日は、杏寿郎さんの母上様が頑張って産んでくれた日でしょう？」

Aはそう言って、にこりと笑う。


「あぁ…そうだな。

今日は、母上が俺を産んで下さった日だ。

母上にまでそう言ってくれてありがとう、A。」

俺はAを抱き締めた。

誕生日の意味を教えてくれた彼女に、愛しさが募る。


「…来年も、再来年もずっとこうやってお祝いをしましょうね。」

Aが、俺の背中に手を回す。

「…うむ！」

「約束ですよ…」

俺はAの声が震えた様に聞こえて、回した腕に力を込める。


このままずっと、ずっと、来年も、再来年も…

心からそう願っている。


「必ず、来年も…！」


二人きっと同じ事を願いながら、俺達はこの幸せが零れ落ちないように身を寄せ合った。



ーーー終ーーー

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