【鬼滅の刃】ハッピーエンドを目指して【煉獄杏寿郎】

肆拾漆　☆* ページ49

俺が赫刀で腕を斬り落とし、冨岡が袈裟斬りをする。


猗窩座が顔を歪め、驚いた顔をして斬られた所を押さえた。

『効いているっ…！』

明らかに先程とは違う回復速度。


「畳み掛けるぞっ！！」

「承知した！」

「炎の呼吸！参ノ型 気炎万象！！」

「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り」








ーーー猗窩座は恐ろしく強かった。



Aに聞いていた通り、反応速度、攻撃力、回復力、どれを取っても今迄戦った鬼とは別格だった。



闘気を高めて攻撃すればする程、吸い付く様に防がれ、反撃された。



『闘気を感知するとはこの事かっ…！！』



赫刀で猗窩座の腕を斬り落としても、耳を削いでも、回復速度は遅くなるものの暫くすると再生する。




猗窩座が構える。

「破壊殺・乱式」

瞬きする間に何百と拳が炸裂する。




「水の呼吸 拾壱ノ型 凪！！」

「炎の呼吸！肆ノ型 盛炎のうねり！！」



…しまったっ…！！

受け切れず、猗窩座の拳が肋を砕き口の中に鉄の味が広がる。




冨岡も、額や肩から血を流し息が上がっている。




強い相手と戦う事だけで開く感覚と言う物があると言う。


呼吸を整え、悲鳴嶼さんに聞いた、他の感覚を閉じて斬る事だけに集中する。



極限まで刮目するんだ！



一瞬、猗窩座の体が透けて時がゆっくり流れる様な感覚がする。




…これかっ…！？




これがAが言っていた『透き通る世界』か？


ギリギリの瀬戸際で見える世界ーーー





空が白む。

夜明けが近い。




猗窩座の顔に焦りの色が見える。




「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎！！！」

「水の呼吸 拾ノ型 生生流転！！」



二人で挟む様にして猗窩座に技を繰り出し、その場所に縫い止める。


「逃さんっっ！！！」



もう直ぐ、陽が登るーーー



「ウオオォォォォオオッ！！！」

猗窩座が咆哮をあげ、自らの体を引きちぎる。

次の刹那、森の中へと逃げ出した。



追いかけなければと思うが、折れた肋が内臓に刺さっていて動けない。

冨岡も肩の傷が相当深い様で、立ってるだけで精一杯の様子だ。



竈門少年が刀を投げて泣き叫ぶ。



「逃げるな！

卑怯者ォォォッ！！！


逃げるなァァァッ！！！」




長かった夜が明け、陽の光が山の影から俺達を照らす。





ーーー朝日が眩しいーーー





失血で、両膝を地面につく。

Aの笑顔が脳裏にちらつく。




『Aっ…


…俺は！

俺は…帰るぞ！！』




俺はそこで意識を手放した。

閑話→←肆拾陸　☆*

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す