【妖狐】金の神様２【煉獄杏寿郎】

　陸　☆* ページ8

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　数日後、式神達が神獣について調べた事を報告して来た。


　大体は言い伝え通り

『喰えば霊力を得る事が出来て、娶れば霊力を宿した子を産む』

と言った物だった。


　ただ、その伝承には続きがあって、神獣の力は子に受け継がれ、産んだ母親の方は霊力の大半を失うらしいとの事だった。

　故に妖(あやかし)に娶られた神獣も、子を産んだら用済みとばかりに喰われてしまう事が大半らしい。


　こんな事を知ってしまえば、とてもでは無いが、益々Aを外界に出す訳には行かない。


　――俺の妻となり子を産めば、力を失ったAが狙われる理由もなくなる。

　一族云々には興味は無いが、俺達とここで共に暮らすのが、Aにとって一番幸せなのでは無いだろうか。


　千寿郎では無く、俺がと考えている自分に気づいて、一瞬思考をとめる。

　……千寿郎は、Aより小さいからな。

　俺は丁度良い言い訳を見つけて、だから仕方無いだろう、と自らを納得をさせた。


　もし……


　もし、俺が

『俺の妻にならないか？』

と尋ねたら、君はどう答えるだろうな。


　目を見開いて頬を染め、君は笑って頷いてくれるだろうか？

　……いや、俺に『優しく食ってくれ』なんて言う位だ。

　意味も分からず、『いいよ』と言いそうだな。

　そんな事を考えて、俺はくっくっと肩を震わせた。



　最後の式神の報告は興味深かった。



　数年前に何個か山を越えた所の稲荷神の神域から神獣が失踪したらしいと言う事と、その辺りの鬼が勢力を増していて領分を広げて来ているらしいと言う事だ。


　おそらく、その失踪した神獣がAとその母で、力をつけた鬼がAの母を喰った鬼だろう。



　Aにこの話を伝えるかどうかは、思案しどころだな。

　知れば、敵(かたき)を討ちたいと言い出すかも知れんし、無駄に怯えさせる事になるかも知れん。

　無鉄砲にここから飛び出されても困る。


　何れにしても、今は伝えぬ方が良いだろう。

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