【妖狐】金の神様２【煉獄杏寿郎】

　肆　☆* ページ6

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　しばらくすると、Aは俺の腕の中ですうすうと寝息を立て始めた。


　今日は、疲れたんだろう。

　そっとAの背を撫でる。


　それにしても、Aが神獣とは……

　今迄はAの母上の封印のお陰で誰にも見つからずに済んでいたが、封印が解けた時どうなるかな。

　雑多な妖(あやかし)なら問題ではないが、伝説が本当なら一族を束ねる様な大物もAを狙って来るかも知れん。

　神獣など、興味が無かったから今迄調べた事も無かったが……



　――少し調べてみるか。



　俺は身を起こして手を打ち、式を何人か呼び出す。

「神獣について手分けして調べよ。

　他の者には気取られぬ様にな」

「……畏まりました……」

　式達は一礼をして部屋を出ていく。




　さぁて、どうしたものか。




　狙われるかもしれないと分かれば、身を守る術を身につけさせた方が良かろう。

　俺の結界の中に閉じ込めておけば、例え封印が解けても大丈夫だろうが、一生そのままと言う訳にもいかんだろうしな。


　Aを喰う事は考えていない。




　……娶る、か……




　俺の妻にしてしまえば、他の妖(あやかし)も手を出して来るまい、が……

　横で寝ているAに視線を移し、そっと頭を撫でる。


　Aは“A”では無い。

　だが、“A”の姿が気になっているのは事実だ。


　Aの命を守る為、娶るのは構わない。

　寧ろこの先、他の者に渡す位なら俺が、とも思う。


　この気持ちは何だ？

　執着か？

　未練か？

　それとも……？


　まだ子供のAを、可愛らしいとは思っても“女”として俺は見れるのか？


　ふと、さっき自分が牙を突き立てた白い首元を、細い悲鳴を思い出す。

　じくりと腹の底が熱を持つ気がして、首を振る。


　気になるのは“A”に、似てるからだろう？

　Aは“A”では無いんだから。



　――そう考えて、俺は何一人で先走って考えているんだか、と可笑しくなる。

　娶るなんて、俺一人の問題ではなく、相手の気持ちもあっての事だろう。


　大体、Aはまだ妻とするには幼すぎるではないか。


　――人と違って、俺達妖(あやかし)には時間がある。

　
　ゆっくりとこれから考えたら良い。


　俺は式に布団を引かせて、Aを横たえる。

　そしてその隣にゆっくりと転がって、目を閉じた。

　伍　☆*→←　参

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