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「怪我はないか?」
「はい!
先生のおかげでみんな助かりました!
ありがとうございました!」
Aは俺に笑顔を見せると、客の方を向いて頭を下げた。
「皆様、ご迷惑をお掛けしました。
引き続きお食事をお楽しみ下さい!」
顔は笑顔だが……
俺は、さっき一瞬目が潤んだのを見逃しては居なかった。
よく見ると、ぐっと固く握った拳の関節が白くなっている。
「……君は、大丈夫なのか?」
「はい!
私は全然平気です!
助けてくれてありがとうございました。
交代まで、あと一息ですもん!
頑張ります!」
俺はその笑顔を見て、Aの交代時間まで見守る事にした。
本当は、今すぐここから連れ去りたい所だが……
自分の役目を頑張りたいと言って笑う彼女の頭を、そっと撫でる。
「……ふむ、では俺もパンを貰おうか!」
俺は適当にパンと飲み物を買うと、忙しそうに片付けをするAを見守った。
それからは特に問題も無く、Aは交代の時間を迎えた。
「今から天文部に行くのか?」
「はい!
着替えてご飯を食べたら移動します」
「では、途中まで一緒に行こう」
俺はAが着替えるのを待ち、一緒に教室を出るとゆっくりと歩き出した。
校内は学外の人も多数来校していて、とても賑やかだ。
「先生、うちのクラスのパンはどうでしたか?」
「そうだな!
パンは竈門少年の所の物とあって、勿論美味しかったし……」
俺はそっとAの耳元に顔を寄せる。
「何より君が浴衣姿で接客をしている姿を見れたのが良かった!」
「な、な……!」
ボンと顔を赤くして口ごもる様子が、また愛らしい。
「……まだ、時間はあるだろうか?」
「は、はい」
「では、少し君の時間を貰いたい」
「えっ?」
俺は笑顔を彼女に向けると、社会科準備室へと向かった。
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華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時