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*
あろう事か寝言を聞かれるなんて……!
私は頭を抱えて、恐る恐る先生の顔を見上げる。
「……A?」
「あ、えと……
祝言を……
先生と祝言を挙げる夢、でした……」
「ああ!
なるほど!」
「先生が、紋付袴で……すごくカッコ良かったです」
「……うむ。
あの時の君は、とても綺麗だったぞ。
……次は、何を着たい?」
「え?」
言葉の意味を探して目を泳がせて、はたと固まってしまう。
ぽっと頬が赤くなったのが、鏡を見なくたって分かった。
その時タクシーが家に到着して、ドアが開く。
玄関にはお母さんが待ち構えていて、タクシーに駆け寄ってきた。
「A!
あんたって子は心配をかけて!!
先生、この度は本当にありがとうございました」
「いえ、Aさんが無事で良かったです」
お母さんは私の方を見て、キリリと眉尻を上げる。
「もう、何をしてたの!
心配したんだからね」
「ごめんなさい!
明日の準備をしながら、つい寝ちゃって……」
「Aさんも無事に見つかった事ですし、あまり叱らないでください。
頑張って準備してたので疲れてたんでしょう」
「もう、先生にまで迷惑をかけて!
本当にありがとうございました」
「いえ、何事も無くて良かった!
今日は疲れただろう?
早く寝るんだそ。
では、また明日」
「はい」
先生は私達に向かって、軽く一礼をすると再びタクシーに乗り込み帰って行った。
タクシーが見えなくなるまで見送って、私とお母さんは家の中に入る。
「ほら、もう遅いから早くご飯食べてお風呂に入って寝なさい」
「はーい」
明日は喫茶店の準備もあるから、朝が早い。
私はバタバタとご飯とお風呂を済ませると、ベッドに入って目を閉じた。
◆
祝言には沢山の人がお祝いに駆けつけてくれた。
この人とこれから共に人生を歩むんだ。
その幸せで胸が一杯で、私は涙ぐんでいる。
あぁ、本当に私は杏寿郎さんの事が好きだったんだな。
私にもその感動と喜びが伝わって来る。
介添人に連れられて祝言の席を立つ私。
もう、暗くなったし宴席はお開きなのかも知れない。
障子を開く手が緊張で震えている。
――ちょっと待って?
これは……
これは、もしかして?
杏寿郎さんの部屋で星空を見上げて、杏寿郎さんの到着を待っている。
そして、障子が開いて緊張顔の杏寿郎さんが現れた。
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華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時