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「せっ、せせせ先生!?
なななななんで?」
「おはよう、A。
目が覚めたか?」
耳まで真っ赤に染めた彼女は、現在の状況を呑み込めてない様子でキョロキョロと辺りを見渡した。
「君はここで寝ていたんだ。
君の母上も心配している。
急いで帰ろう」
「……あ……
あぁ、私、あのまま寝ちゃったんだ……」
「もう、9時を過ぎてるぞ。
ほら、帰り支度をして」
「えぇっ、もうそんな時間ですか!?
ひえぇ、怒られる……!」
Aは頬を両手で挟むと、今度はみるみる間に青くなった。
その忙しく変わる表情を見て、俺は思わずくすくすと肩を揺らしてしまう。
「笑い事じゃ無いですよ……
うちの母、怒ると凄く怖いんですから……」
「すまんすまん、つい可愛らしくてな」
「もう、こんな時に何を言ってるんですか!?」
次は真っ赤になって頬を膨らます君が可愛くて、俺はポンポンと頭を撫でる。
「さぁ、急いで帰ろう!」
ドームから出て彼女の手を取り起き上がらせると、Aはバタバタと荷物を纏めて帰る準備を整える。
その間にAの母上に『彼女が見つかったから連れて帰ります』と電話を架け、ついでにタクシーを手配する。
職員室の戸締まりをして、外に出ると呼び出したタクシーが正門の所にハザードをつけて待っているのが見えて、俺達はそれに小走りで乗り込んだ。
「で、Aは教室で何をしていたんだ?」
タクシーの後部座席に腰掛けて一息ついた俺がAに事の顛末を尋ねると、彼女は少し恥ずかしそうに口を開いた。
「あの……
星空を……大の字になって寝転がって見ると、気持ちいいって聞いた事があったから、誰も居ない時に、やってみたいと思って。
それで、プラネタリウムを見てる間に、いつの間にか寝ちゃってました……」
「ふむ、なるほど……
やって見て、どうだった?」
「……映像や音楽が凄く心地良かったです。
きっと本物の夜空なら、もっと気持ち良いんだろうなぁ」
「そうか!
それは良かった!
俺も今度やってみるかな」
「はい、是非!」
「そう言えば、Aは何の夢を見ていたんだ?
何やら寝言を言ってたが」
「ね、寝言!?」
Aは目を丸くしてこちらを向いたかと思うと、見る見る間に頬が赤くなって行った。
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華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時