175 ページ32
*
「……うわわわわっ!」
「ひゃあ!?」
私は大声を上げて飛び起き、その声に驚いた優香ちゃんが続いて起きた。
昨日あんな事があったから、夢でもこんな夢を見てしまったのだろうか?
心臓がバクバクして、胸を手で押さえる。
「ど、どうしたの?
こ、怖い夢でも見た?」
「いや、怖くはなかったんだけど……
ちょっと、驚いちゃって……」
「大丈夫?
――ああ、もうこんな時間か……
朝ご飯まで時間があるけど、そろそろ起きちゃう?」
朝食まで、まだニ時間ほど時間がある。
でも、女の子の朝の準備は時間がかかる。
それに、下に好きな人が居るなら寝起きのぼんやりとした顔は見られたくない。
早めに下に降りれば寝起きの先生も見れちゃうかも知れないし、頑張って起きよう!
私達はまだ外は薄暗いけど、眠たい体に鞭打って布団から起き上がる。
身支度を整え布団を畳み、部屋の片付けをして下の様子を階段から伺う。
耳を澄ましてみても音がしない。
もしかして、まだ寝てる?
私達は、こそっと下りて先輩達の部屋の外から聞き耳を立てた。
「……音しないね」
「まだ寝てるのかな?」
確かに時計を見ると、起床時間までまだ三十分以上時間がある。
と、その時洗面のドアが開いてお風呂あがりと思われる煉獄先生が現れた。
「おはよう!
皆、早起きだな!
感心! 感心!」
「えっ?
お、おはようございます!
先生早いですね」
「ああ!
俺はいつも四時に起きて、素振りやランニングをするのが習慣でな!
ひと汗かいて来たから、汗を流して来た所だ」
私は思わぬ早起きのご褒美に、心の中で歓喜の悲鳴を上げた。
濡れた前髪は先生の額に垂れて、暴力的に色っぽい。
体からはふわりとボディソープのいい香りがして、くらくらしそうになる。
……早起きして良かったっ……!
「どうした、A?
俺に見惚れて?」
「なっ、そ、そんな事無いです!」
意地悪に目を細める先生に、私はプィと横を向く。
「先輩達はちゃんと起きてますか?
静かですけど」
寝起きの先輩をどうしても見たい優香ちゃんが、落ち着かない様子でそう言った。
「ああ、そうだな!」
先生はくすりと笑うと、扉を大きく開けて
「ほら! 皆朝だぞ!」
と、いつもより更に大きく声を上げた。
559人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時