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先生は、チラリと時計を見て口を開く。
「――さて、名残惜しいがどうする?
このままここに居ると、病気と言う事で合宿から強制退場になりそうだな。
折角の合宿だ、友人と過ごしたいだろう?
観測会も終わる頃合いだろうし、そろそろ上に戻るか?」
時計を見ると確かにそんな時間だ。
家に帰らされたら、明日の寝起きの先生も、歯磨きする先生も、あんなこんなの先生を見る事ができない。
……それは困るっ!
「はい!
戻ります!」
私は元気に答えて、素早く立ち上がる。
先生はそんな私を見て、ふっと優しく笑った。
「――そうだ、さっきの話だが……
二人だけの時には“杏寿郎”と呼んでくれても良いんだそ。
俺が好きなのは、君なんだから」
「ん"っ!?」
私は突然の申し出に、目を丸くして固まってしまう。
そんな私を、先生は意地悪な笑顔を浮かべながら見ている。
「どうした?」
「いいえ、何にもありません!」
これはヤバイ。
確かにヤキモチは焼いたけど、自分が名前を呼ぶ事は考えていなかった。
「上!
上に戻りましょう!」
「名前を呼んでくれないのか?」
「そっ、それはまた今度!
私の心の準備が整ってからで!」
「それは楽しみだな!」
真っ赤になって保健室の入り口に逃げる私を、先生はくっくっと笑いながら後を追う。
保健室の扉を開けると、遠くからざわざわと人の気配が近づいてくるのが分かった。
階段の方へ向かうと、優香ちゃん達が丁度降りてきた所だった。
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華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時