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「すまない!
俺が三月まで秘密にしようと言ったせいで、君には辛い思いをさせてしまった」
先生はそう言うと、私に頭を下げた。
「そんな!
だって、約束は守らなきゃ、でしょ?
だから、先生は悪くないです。
……私が、心が狭いだけで。
来年三月までですもん。
もう、大丈夫。
こうやって、先生が私を見てくれてるって分かったから」
そう言って先生の顔を見ると、先生は心配そうな顔で私を見て口を開いた。
「君が望むなら、俺達の事を公にしてもいいんだぞ」
「問題になって、先生がクビになって学校で会えなくなるのはもっと嫌てす。
だから、大丈夫」
「本当か?」
「はい」
ニコリと笑う私を見て、先生は眉尻を下げて微笑む。
「分かった。
俺のせいで苦労をかけるな。
でも何かあったら、今日みたいに隠そうとしないですぐに言う事。
いいな?」
「はい。
……あ、一つお願い聞いて貰っても良いですか?」
「なんだ?」
「ハグ、して貰っても良いですか」
私がそう言うと、先生は少し目を見開いて、それから優しく笑って両手を広げた。
「お安い御用だ、お姫様。
――おいで」
私は誘われるがまま、先生に抱きついた。
先生の腕が私をしっかりと抱き締めて、ゆっくりと壊れ物を扱う様に大切に私の頭を撫でてくれる。
「俺は、君の事が好きだ。
Aの事が大好きだ」
耳元で、何度も何度もそう優しく囁かれて、幸せで心が蕩けてしまいそうだった。
「私も、先生の事が大好きです」
私もそう言って、先生の肩に顔を埋めると石鹸のいい匂いがして、胸が一杯になる。
先生の体が、すごく熱い。
しばらくして、少し体を離して先生の顔を見ると、先生の少し照れ臭そうな瞳と出会った。
いつもよりその頬も耳の端も、赤く色づいている。
「先生、顔が赤い」
「俺を何だと思ってるんだ。
好きな女性が、自分の腕の中にいるんだぞ。
ドキドキもするし、赤くもなるさ」
「先生の瞳、綺麗だなぁ……」
「君の瞳の方が綺麗だ」
先生のガラス玉の様に綺麗な瞳に吸い寄せられて、先生の頬に指を伸ばす。
指先が先生の頬に当たると、先生の瞳が僅かに揺れて肩が小さく動いた。
――キス、したいな。
ダメ、かな?
きっと、先生からはしてくれない。
指先に触れる頬が、燃える様に熱くて。
だから
だから、私は
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華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、いつもコメントありがとうございます(*´ `)うわああぁ、そんなふうに言ってもらってすごく励まされます!これからも拙い文章ですが是非是非よろしくお願いします!(*´艸`*) (2021年9月17日 3時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 おはようございます!華様の情景が浮かぶ様な素晴らしい話、本当大好きです!!長いなんて思わないくらいいつも楽しい読ませて頂いてます\(//∇//)\ お忙しいのに、いつも更新ありがとうございます!! そして、煉獄先生ー。がんばれー!!次も楽しみです!! (2021年9月16日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)先生はきっと大正軸より少し歳上なので、中身は大人のイメージです。ゆい様の元気の元になれましたか?(*´∀`*)こちらこそありがとうございます!! (2021年9月9日 18時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 華様 夢主ちゃん、よかったですーやはり、先生は頼りになってかっこいいし、ステキです。、、、最後のムフフな展開もドキドキですーー。今日は仕事がんばろーって、思えました!!ありがとうございました!行ってきます!!(*^ω^*) (2021年9月9日 8時) (レス) id: c872c7d816 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます(*´ `)連れ去るのも良いけど、夢主ちゃんはきっと最後まで仕事をやり遂げたいだろうな、でも心配だから見守るんだろうな、と言う感じです(*´艸`*) (2021年9月2日 21時) (レス) id: e9517aa429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=punishop
作成日時:2021年3月29日 8時