【キメツ学園】ハッピーエンドのその後は４【煉獄杏寿郎】

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*


　屋上の扉が閉まると、一気に辺りは静まり返る。


　カツン

　カツン

と誰も居ない階段に、先生の革靴の音が響く。
　

「大丈夫です、降ります！

　それに……！

　それに、お腹痛いって言ったの、嘘ですから……」


　口から出まかせを言っただけなのに、こんな大事になってしまって、私は申し訳無さで小さくなる。


「知っている。

　だが、君はあの場から離れたそうな顔をしていたぞ。

　何かあったのか？」


　バレてたんだ。

　私は言葉に詰まってしまう。


　――でも

　私の事を、ちゃんと見ていてくれたのが嬉しい。

　口をつぐむ私に、先生が優しく語りかける。


「――それに、丁度君と二人で話したいと思ってたんだ。

　ずっと近くに居たのに、ろくに話せなかったからな！

　だから悪いが、俺の我儘に付き合ってくれないか？

　ほら、階段はしっかりと掴まらないと危ないぞ！」


　そう言って私の顔を見て微笑む先生を見て胸が一杯になった私は、先生の首に手を回して胸に頭を寄せた。

　私の罪悪感を軽くする為に、自分のせいにしてくれてるんだ。

　こんなに先生は優しいのに、私、ヤキモチ焼いたりして本当に馬鹿みたいだ。

　私は、歩みを止めない先生の胸に白状する。


「……私、ヤキモチ焼いてたんです」

「む？」

「高橋先生が、煉獄先生の事を『杏寿郎』って……そう堂々と呼んでるのが……

　みんなから、彼女扱いされているのが、羨ましかっただけなんです」

「……」


　黙ってしまった先生の顔を見上げると、何故か真っ赤になっている。


「……先生？」

「……存外嬉しいものだな。

　君にヤキモチを焼いて貰うのは」


　先生はそう言うと、保健室の扉を開けて電気をつける。

　そしてゆっくりとベッドに私を座らせると、カーテンを閉めて、ベッド脇の丸椅子に腰掛けた。

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