あなただけの魔法使い (緑 sub.黄) (ページ45)

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'新田さんて映画とか見る？'

ラインの通知に光る文字

'観ますよ、一人でも全然行っちゃいます'

'じゃあ、今度一緒にレイトショー行かん？知り合いのやってる小さな劇場があって、すごく雰囲気ええし、気にいると思うんやけど'

初めてのお誘いに嬉しくてつい顔がにやける

もちろん「行きます」と返事して携帯を閉じる
大倉さんのことを好きだなあ、と思える時間が、すごく幸せに満ちた時間で

気持ちは伝えられないけど、

それでもいいと思える

現地待ち合わせとのことだったので送られたURLを頼りに一人電車に揺られる

外は真っ暗で
窓に映る自分の姿が妙に浮ついてるのがわかる

'今日デートなん？さっき玄関ロビーで見た。お洒落してるやん'

錦戸さん＿＿＿

'一般人が頑張ってお洒落してるんで褒めてください'

ってスタンプ付きで送ったらうさぎが変顔をしているスタンプが返ってきて

「…なにこれ、(笑)」

完全にからかわれてるじゃんっ

でも1,2分後にはちゃんと'綺麗な人おると思ったらAちゃんだったから自信持て'とか言われて

うまく転がされてる、とつくづく自分の情けなさにふっと息をついた

劇場は本当に小さなところで、入り口も小道に入った場所にあった

大「ごめん、待った？」

長身のイケメンが入って来ればそれは一目に大倉さんだとわかる

大「友達に言うたら今日貸切にしてくれるっていうから甘えさせてもらったんやけど」

「・・・確かに人いなくて変だなあとは思いました(笑)」

大「人目を気にしないでおれるからええやろ？」

大「行こ、」

＿＿＿パシ、

「え・・・！」

ドクン、と心臓が跳ねる

大倉さんの大きな手が私の手首を優しく掴んでる

途端顔が熱くなって「りんごみたい(笑)可愛い、」って笑われる

仕事に没頭して最近は彼氏なんていなかったし、それに相手はアイドル＿＿＿
緊張しないわけがない

「あのっ、チケットとかは…」

大「あー、ええよ。今日は俺の我儘でここまで付き合わせてるし、気にせんといて」

「すみません…ありがとうございます」

大「あと一つ、お願いしていい？」

「？」

大「…仕事以外の時間は、敬語なしで話して」

守られへんかったら罰な！って

「罰…？(笑)」

大「試しに使ってみ？(笑)」

「…罰って何されるんですか？」

＿＿＿ふに、

大「ほっぺ柔らかあ～！」

「ちょ、大倉しゃん、！」

大「ごめん、罰はないけど触りたかってん(笑)」