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「ちゃんと、お断りしようと思って…」
セミが、遠くで鳴いている
咲「・・・そっか、」
やっぱダメか、と咲田くんは笑う
「ごめんなさい…」
咲「そんな顔しないでよ、俺、新田さんの笑顔が好きなんだからさ」
こんな時まで爽やかで
咲「ん〜。まあ落ち込むけど、新田さん、俺とはこれからも友達でいてくれる？」
「え、」
咲「なんか、そういう時期なく俺ガツガツいっちゃったし、嫌だったよね」
「いや、あの…」
咲「俺さ、もっと新田さんと仲良くなりたいんだよね。ほら、女優さんて性格キツイし話しにくくてさ。新田さんは、こう、なんていうか癒しというか、物腰も柔らかくて同い年だし。ダメかな？」
「…いえ、、」
咲「よしっ、じゃあ今から友達ってことで！よろしく！」
ん、って手を差し出されて、私は仕方なく握手をする
子犬みたいな、人懐っこい人＿＿
じゃあまたどこか現場で会えるといいね、と言って去っていく
夏の屋外、一人残された私は、セミの鳴く声を聞きながら、屋上のフェンスにもたれた
「…これでよかったんだろうか、」
きっぱり断るつもりだったんだけど、相手に押されて友達になってしまった
あと20分の休憩
今からお昼を食べる時間もないし、コーヒーを買いに行くのすら億劫になって
日陰のベンチで目を閉じる
時々ふわりと風が吹いて
夏のじとっとした嫌な空気を撫でていく
？「あれ、」
・
？「えーと、あ、そうや！大倉の！」
うとうとしかけた時に、大倉、という声が聞こえて目を開けると
「あ…」
村「こうやって話すん初めてやんなあ！えーと、」
「新田です」
村「そうそう！新田さん！！」
ガハハ、って八重歯を見せて笑うと隣に腰掛けた
「今日も撮影ですか？」
村「ああ、バラエティのな。早めに入ってもうたから、リフティングしよう思ってきてんけど、暑いな！」
「ふふ、そうですね、夏なんで」
村「そうやんな、夏やなあ！」
「いつもバラエティ見てますよ。お話し上手で、すごいなあって」
村「ほんまに！？ありがとう！嬉しいわ！」
本当にフランクで話しやすい
いい人だなあ
村「大倉どうや？最近あんま会えてないねんな」
村「あいつ朝弱いやろぉ？大丈夫？(笑)」
大倉さんを心配する村上さんはお兄ちゃんみたいな話しぶりで
「んじゃ、新田さん、また話そうな！」って去っていく
村上さんの快活さに、励まされた気がした
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作者名：霞 | 作成日時：2015年7月27日 17時
