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「錦戸さん！」
夜風に当たって
こっちを振り向いた錦戸さんの髪がふわふわと揺れる
夜が映える人・・・
錦「ほんまええのに」
「いや、やっぱりご迷惑おかけしてしまったので」
あの後大倉さんは病院に行って薬をもらったらだいぶ回復して、もう仕事もこなしていると聞いた
「これで美味しいジュース作ってください」
錦「え！マジで。ええの、こんなん！」
うまそー！って子供みたいに目を輝かせる
お礼に何がいいか考えて、あの朝のアサイージュースを思い出し、
高級フルーツ店のフルーツをプレゼントさせてもらった
錦「あんさ・・・」
「？」
錦戸さんは真剣な顔をしてじっと私を見つめた
「錦戸さん、？」
錦「・・・大倉のこと、どう思うてる？」
「え」
錦「あいつはさ、おおらかで優しいし、よう食べて豪快やし、仕事に対しても真面目で努力家で、ええやつやねん」
「・・・」
錦「…彼女に対しても一途やし、Aちゃんのことを不幸せにするような奴やない」
錦「けど、」
錦「あいつの問題やなくて、俺らは、アイドルやねん」
「・・・はい、」
錦「こんなこと言うんは、Aちゃんやからやで、」
ドクン、ドクン、と心臓の音が聞こえる
わかってる、私は、アイドルに恋をしてしまった
それに対する大きな壁も、わかってる
錦「…この先、何があっても、向き合える？」
皆まで言わなくても、わかるよな、って目で言われてるような気がした
女性アイドルが恋愛禁止を掲げるように、男性アイドルだってファンに夢を与える仕事なんだから…
錦「…俺は、さ、アイドルやって人間やから、恋やってするし、って思うてる。言ったらあかんのかもしれんけど」
錦「…何かあったら俺を頼れ。…味方でおることを忘れんでな」
「え…」
てっきり諦めろと言われるんだろうと思ったのに
それはこのまま想っていてもいいということなの？
ぎゅう、と胸が締め付けられる
大倉さんの笑顔がふと思い浮かんで
会いたいと思った
「…好きです、」
錦「は、？」
「私、大倉さんのこと、好きです、」
錦「・・・俺に言わんと大倉に言わな意味ないやんけ、(笑)」
また、この人は優しく笑ってくれる
「錦戸さん、」
錦「ん」
「ありがとうございます、」
錦「ん、(笑)」
心地の良い涼しい風が二人の間を通り抜けた＿＿
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作者名：霞 | 作成日時：2015年7月27日 17時
