あなただけの魔法使い (緑 sub.黄) (ページ29)

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29 大倉side ページ29

ドラマの中打ち上げ

スタッフさんと、演者と、監督さんと。ドラマに関わる多くの人が集う

俺はやっぱり役的にも輪の中心にいるように席が決められとって、隣にリナちゃんとか、その他共演者の方や監督さんがおる

今回のドラマ班は、前に関わりのあった方も多いから、この場におっても苦やないし、むしろ楽しいと思えるけど

一つだけ心ん中にモヤモヤっと渦巻いてんのは、

俺からは遠い、ほんまに端の席の方で
控えめに笑いながら、スタッフさんとお話ししてる、新田さんのことで

遠いな・・・

時折いろんな人の影になって新田さんが見え隠れする
ああ～もどかしすぎる！

監督「大倉くんは普段どんな音楽聴くの？」

大「え？ああ、そうですね…」

なんて受け答えしながら

意識は完全に新田さんにあって

ふわふわした雰囲気とは違って、意外とビール頼むねんな、とか

酒飲むペース早いなあ、とか

ちょっとギャップ感じて嬉しくなったり？

でもそんな時に俺のテーブルはなんだか話が盛り上がって
ついつい俺もその話に乗ってしまって

周りが女の人ばっかりやったから、油断しとったら

大「・・・え、」

いつの間にか俺の近くにおった咲田くんが新田さんの隣に移動しとって

一瞬

そっちに気をとられる

リナ「…大倉さん？」

大「え、」

リナ「…具合、悪いですか？」

いつもより表情が硬い気がしますけど、、って。

大「あ、いやごめん(笑)なんもないで」

いや、
なんもないわけなんかなくて

咲田くん、変なことせんとって

新田さん、そっちに傾いたらあかんで、！

って

心ん中はめっちゃ焦ってる

大「すんません、ちょっと、」

なんか見てられん

お手洗いに駆け込んで、鏡の前でふう、と息を吐く

＿＿＿ガチャ、

大「・・・咲田くん、」

咲「ああ、大倉さん！すみません、なんか、席勝手に移動しちゃって」

爽やかな笑顔でさらっと言う

咲「やっぱりいろんなスタッフさんとお話ししたいですよねー」

いや、咲田くんが話しとったん、新田さんだけやん…

咲「あ、聞きました？新田さん、今度ヘアスタイル集の特集で一面に載るらしいっすよ！写真撮られる側になったのが恥ずかしかったって言ってました」

絶対買おう～！って楽しそうで

俺、そんなん知らんし
咲田くんには話すんや

なんて

またモヤモヤが大きくなって俺の中を支配していくんや