だからきみの手を取った ページ9
「恭弥くん、今日暑くない？」
「……うん」
「私ね、氷出せるんだよ」
「は？」
恭弥くんと出会って一年を一周と少し。猛暑の中律儀に私達は神社に集まっていた。初めて出会ってから私達が集まるのは一度の例外も無しにここ。認識としてはもはや自分達の縄張りである。しかしいくらそう言っても暑いものは暑い。木陰があろうとここは外だ。
これ以上の暑さに耐えられなくなった私は、自分が氷遁を使えることを思い出した。何故今まで思いつかなかったのか。きっと一重に生前使っていなかったから無意識に忘れ去られていたのだろう。術の開発も全くしていないし今度しようかなあ、と思いながら私は恭弥くんに声を掛けたのである。
いきなり氷が出せると言う私に恭弥くんは残念なものを見るような目をした。だから論より証拠。
「ほら、冷たいよ」
「……ワオ。これは手品かい？」
「ううん。ほら」
何もない私の手から氷がポロポロと零れるのを確認した恭弥くんは驚いた顔をした後に顔を顰める。私がおや、と思う番だった。恭弥くんは子どもなのにとても気難しいからよく顔を顰める。しかし私が今見たのは初めて見るような色をしていた。
「君さあ、警戒心の欠片もないわけ？」
「警戒心？」
「そんな力があるって軽々しく言ったら、気味悪がられたり悪用されたりする可能性だってゼロじゃない」
その言葉で私は笑ってしまった。恭弥くんの声色は私のことを心配する幼馴染そのものだったからだった。恭弥くんは知らないのだ。恭弥くん相手だから私は何の警戒もなく、氷遁というこの世界に恐らくないであろう力を見せたことを。
「…何で笑うの」
「私だって、この力を見せたのは恭弥くんが初めてだよ。それに万一のことがあったら恭弥くんがきっとどうにかしてくれるしね」
「君の方が強いだろ」
「生憎私は人の上に立ったり、人脈を築いたり、難しいことを考えるのは苦手だから」
「僕にそれをしろって？」
恭弥くんは、私が恭弥くんは私の力を知っても離れることはないと思っていることに気が付いている。そしてそれは当たっていた。
だから恭弥くんは溜息の後に、私の額を小突いたのだ。
友達はお金持ち→←気分は知らない人が急に友達面で挨拶してきた時
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やなぎ(プロフ) - 新作だされてたんですね！知らなかったです(悔しみの極)。今回もばりばりストライク決め込んでくるような作品で、舐めるように見つめてますごめんなさい。素敵なお話ありがとうございます (2019年5月7日 18時) (
レス) id: 9b7153919b (このIDを非表示/違反報告)
春蛙(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。原作の時間軸でお正月の回があるので、そこに合わせて書かせて頂く予定です。 (2018年12月25日 23時) (レス) id: 880724d273 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く好みの作品で続きが楽しみです！!オチがあるなら雲雀さんをお願いします！!大好きなので!!リクエスト大丈夫なら雲雀さんと夢主がクリスマスやお正月を一緒に過ごす話お願いします。今後も無理せず更新頑張って下さい。 (2018年12月22日 15時) (レス) id: 5216ee3091 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるのかえる | 作成日時：2018年12月22日 14時
