ノースキャンダル！ (ページ8)

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憧れの人ページ8

松村side

今日は朝からレッドアイズの撮影。
いつも全員が揃うわけではないけど今日は午後から城岩さんも来るらしく、久しぶりに全員が揃う日。

城岩さんと俺は同じシーンが多く…というかほぼ同じシーンしかないから、毎日と言っても過言じゃないくらい会っている。いや、仕事でね！

城岩さんは俺にとって憧れと言う言葉では表せられないくらいの存在で、共演が決まった時は震えた。
しかも「恋人」の役での共演って知った時は、不安と、ドキドキと、嬉しさと…いろんな感情で涙が出た。

メンバーにも知り合いにも羨ましがられたし、多少の優越感はあるのかもしれないけど、違うんだよな…

『ハア…』

木「何の溜息や」

『あっ、いや何もないんですけど…』

木「城ちゃんのことやろ？」

『城岩さん？！いやそうですけど違うというか…自分の問題というか…』

いつのまにか目の前に座っていた木村祐一さんに見事当てられてしまった。わかりやすいんだろうな…

木「で？どこまでいったん？」

『いやいやいやどこまでも何も、何もまだ…いや、まだとかじゃなくて城岩さんはそういうのじゃ、いや、そう言うのって言い方はあれですね…違うんです』

木「お前城ちゃんのことになると、よう喋るなあ、城ちゃんと共演したやつで何人も見てきたからわかる。それはもう」

『違います！そういうのじゃないんです！』

溜息が出るほど悩んでいた俺とは裏腹に楽しそうにニヤニヤしている木村さん。あぁ、頭が痛い。

『木村さん、勘違いしているようなので言っておきますけど僕は城岩さんに対して一切そういった…その恋愛感情は持っていません。』
『城岩さんに対しては役者としての憧れと尊敬と…あんなに持っている人、僕自身がそう感じる人に初めてお会いしたからです』

正直まだ考えは纏まってないけど、城岩さんに対して特別に思ったり、悩んだりするのはこれが理由だと思う。何より木村さんに勘違いされて、本人に伝わったりでもしたら、終わりだ。
勿論、恋愛感情はないけれど本人からしたらこんな俺からたとえ噂だとしても、好意を向けられたら迷惑だろう。そう思って、木村さんにハッキリと自分の気持ちを言った。

木村さんも納得して引き下がってくれるだろうと
思って木村さんを見た。

木「ま、今はええわ。よし、撮影頑張るか～」

良かった。分かってくれたみたいだ。安心したその時

木「自分に嘘はつくなよ」

木村さんから言われたこの言葉の意味を知るのはもう少し先。