ノースキャンダル！ (ページ15)

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Fの人ページ15

藤ヶ谷side

予約したいつもの店、いつもの席。
どんなに忙しくても月に1回は絶対に時間を作って自分へのご褒美にしている日。

時計が20:50を指した頃、個室のドアが開いた。

「たいちゃん、待たせてごめんね。お店ありがとう」

俺のご褒美の時間は城岩Aとの時間。

『全然。迎えに行けなくてごめん。外寒かったでしょ？』

小さな白い手を握ればひんやりした。

「たいちゃんに会えると思うと寒さも吹き飛ぶよ」

胸が高鳴るとはこのことを言うんだろう。
2人の間を挟むテーブルがなかったら今すぐ抱きしめてたな。

「『お疲れ様、乾杯』」

カランとガラスのぶつかる音がする。

Aとは10年近くの付き合いになる。
初めは妹みたいだと思った。
守ってあげたい、可愛いな、っていう感情はそのままに触れたい、俺のものにしたい、と家族ではなく1人の男としての感情が芽生えたのはいつ頃だっただろうか。
そんなのいつだっていいか。
気付けばどんどん美しく、俺のことをいつも理解してくれるAに俺は惹かれていた。

『雑誌見たよ。綺麗に撮ってもらってたね。実物は写真よりも綺麗だけど』

「たいちゃんに言われると嬉しいな。面倒だけどジム通ったりして頑張ったんだ」

『面倒って言いながらもちゃんとやり遂げるAは凄いよ。本当に綺麗だった。北山が大量に買って事務所で会う人会う人に配りまくってたよ』

「はあ？！みっくんそんなことしてんの？！馬鹿じゃん恥ずかしい…たいちゃん止めてよ～～」

『俺としてはAの綺麗な姿を見てほしいのと俺にしか見せなくていいのに…って気持ちが葛藤して止められなかった』

「いや…ちょっとたいちゃん、照れさせるのやめて…」

俺がストレートにいう褒め言葉にいつになっても慣れてくれないA
慣れなくていいんだけどね。真っ赤になって恥ずかしがる顔が可愛いから。
こーんな可愛い顔が見れる男はこの世で今、今の今は俺だけ。
今は俺だけのA

『今日は俺んち来る？』

「いいの？たいちゃん明日朝は？」

『明日は14時から。Aが良ければ俺はきてくれると嬉しいんだけど』

「私は11時から。ゆっくりはできないけど、行ってもいい？」

『もちろん！』

「じゃあ行く！今日何の映画見る？たいちゃんのおすすめがいい！」

Aは映画のことで頭がいっぱいみたいだけど

『Aとならどんな映画でも楽しいよ』

今日は俺で頭いっぱいにしてね。