星降る夜のスターチス【虎】

41 松倉side ページ42

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「…海斗くん、あの子のこともらってくれないかしら？」









「あ、海斗くんの気持ちが一番大事だけどね」と。









「……俺で、いいんですか？」









母「あの子頑固だから分かるでしょう？
あ、もしかして気づいてなかった？だとしたら海斗くんも罪な男ね」







「……」









きっと、Aのお母さんは笑って俺を見てくれている。でも、俺は顔が上げられない。








怖いんじゃなくて、



自分が情けなくて、だ。









「あの…俺は、俺たちは絶対デビューします。夢に向かってこれからもがむしゃらに頑張ります。なかなかこっちに戻ってこれないかもしれないけど、でもAのことは絶対忘れないし、これまでも忘れたことはないです」







「…うん」








「今までは、本当は自信がなかったんです。ずっとこのままだったらどうしようって、でも」









「まって、私がそれを最初に聞いちゃうのは申し訳ないわ。」







勝手に熱くなって、語ってしまっていたらしい。









「….きっと、もうお風呂から上がって部屋で布団かぶってるわよあの子(笑)」








化粧を落としたから、恥ずかしがって降りてこないのかも、と。









久しぶりにAのお母さんと話をした。








家の手伝いのこと。

Aは神楽も凄く頑張っていて、いつか俺に見て欲しいといつも言っていること。







就職活動のこと。


既にいくつか内定をもらっていて、将来本当にやりたいことを今悩んでいること。






大学生活のこと。


Aは友達にも沢山恵まれて毎日楽しいと。でも卒論に追われていて、それだけは嫌だと言っていることも。



4年前家から通えるところにと、地元の難関大学を選んで勉強して、見事合格したときの嬉しそうに泣いていたAの顔がちらついた。









やっぱり俺と住んでいる世界が違うんだな思った。




羨ましいとも思ったし、俺たちの楽しい話も沢山聞いて欲しいと思った。









今凄く話がしたいって、思った。









「Aの部屋、行ってもいいですか？」





「もちろん」







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