星降る夜のスターチス【虎】

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「A〜時間！準備できてる？」








『はーい、待って。
　袴が上手くできな…あ、できた！』








「装束三原則！丁寧に！」








『“投げるな、置くな、跨ぐな”もう！小さい頃から言われてるんだから忘れないよ！』








「ふふ、もうそろそろ始まるから中入りなね。」









『うん、今行く』









うちは地元では割と大きな神社で、年末年始には沢山の参拝者が訪れる。









今の時期は繁忙期ではないからそこまで忙しくはないけれど、






子供の頃からやっている神楽は大学に進学してからも続けていて、今もこうして舞うことが多いのだ。









神楽、踊ることは昔から好き。









初めて巫女さんの神楽を見た時、私も絶対こんな風になりたいと思ったのを、今でも鮮明に覚えている。









小さい頃は「もっとふりふりがついたドレスが着たい！」と駄々をこねていた巫女装束も、この歳になると袴を着なければ気が引き締まらないと思うほどになった。









今日も出番を終えて、大きな御神木の下で一息つく。








舞ってる間は誰に見られてるかなんて分からない。







友達に見られるのが恥ずかしくて仕方なかったけれど、それはもう過去の話だ。









「A…A！」









『…んー？
　…え、海斗？！うそ？ほんもの？！』









松倉「よ！久しぶり！」









名前を呼ばれて後ろを振り向くと、そこにあったのは数ヶ月ぶりの海斗の姿だった。









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